第23話 妹として

 陸さんは私の兄葛葉友助に会った後、兄についての話をしてくれない。昔は太っていて身長も小さくいじめられていたが、今は背は普通よりは低いものの筋骨堂々としていてかっこいい兄だった。そんなお兄ちゃんを私、葛葉瑠璃はもう何回でも会いに行こうと思っていた。だが、その鍵となるはずの陸さんが、私に何も話をしてくれなくなったのだ。

 そうして今日も陸さんの足取りを追う。これじゃまるでストーカーだが、何もしゃべってくれないのなら、何か隠しているはずだ。

 今回の駒骨という人とのデートでそれを探る。


「異能機関は潜入スパイするなら。やっぱり私が行ってくるわよ。貴方が行くとはっきり言って足手まといになるし。関係はできるだけばれないほうがいい」

「そうだよな。俺にできることなんてバスケくらいしかないし」

「そこで何を話しているの陸さん」

「やべ」

「まあ、ストーカーしていることは見え見えだったけど。妹さんだっけ。貴方も友助を戦場に連れていかれる場合助けに行きたいの。自分の今の立場が危うくなっても」

「何の話。陸さん黙ってるなんてひどいよ。お兄ちゃんが戦場に駆り出されるなら私も黙ってはいない。隠さないでその話全部教えて。陸さん、駒骨さん」

「友助が大切にしてる妹だったからばれないようにしたいと思ったんだけどな」

「妹の方からも大切にされている兄なのね。話しておいた方がいいと思うわよ陸。彼を大切に思うのはあなただけじゃないからね」

「分かったよ。今、お前の兄さんは異能機関によって戦いに駆り出されてるかもしれないんだ。まあでも確定じゃないんだがあいつのことだ。念のために戦わされているか調査するためにこうして話し合ってるんだ」

「その話。じっくり聞かせて」

「分かった。これから話す」


 こうして、私は兄が戦闘に駆り出されるかもしれないことを知った。妹としてそうなった場合異能機関を戦闘力はないけどただじゃ置きたくないこの時思ったのだった。



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