第10話 久しぶりに会う友へ

「G組、葛葉友助さん。職員室へ来てください」


 それは、放送室からのアナウンスからだった。殴られないように礼音君もついてきながら職員室へ向かう。


「陸、陸じゃないか。どうしてこんなところに」

「友助、久しぶりだな。無事でよかった」

「お兄ちゃん。無事でよかった」


 三人は再会を喜んだ。抱きしめあい。隣で見ている礼音君は感動していた。


「良かったね友助くん。彼らの記憶からは君は消えていなかったってことさ」

「本当に良かったよ。忘れられてたら俺は辛かった。けれどこうやってまた会えてうれしい」

「忘れるわけがないだろエース」

「お兄ちゃんのことを忘れることなんてありえないもん」


 陸と瑠璃は友助との再会をとても喜んでいた。

 ふと後ろのやせ細った少女に気をかける。


「ところで陸、後ろの子は}

「この子は駒骨。呪禁師っていう呪術師みたいな職業についてるらしい。この子のおかげでお前の元にこれた」

「ありがとう駒骨さん」

「いやいや、私は陸をサポートしただけ。陸が会いたかったから来れたものよ」


 呪禁師という耳慣れない言葉を聞きつつ、俺は駒骨にも感謝した。異能者集団のここには入るのは実際そのような職業でなければ入れないと思う。


「陸、俺はこんな場所に連れてこられたけど、この礼音のおかげで何とか生活を送れているよ」

「そうか。ありがとうよ礼音さん」

「いやいや、友助くんは性格もいいし守られて当然だと思うよ」


 こうして再開は果たされた。


「時間ですよ」

「そうですか。じゃあな友助。また会いに来るから」

「また来るねお兄ちゃん」

「時間制限があったのか。でもまたな二人とも今日はありがとう」


 彼らがまた会える日はすぐに来る。それまでにも葛葉友助は鍛えられていく。葛葉友助の修業はまだ始まったばかりだ。

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