第1章 暴走少女 4

 見た目とは裏腹に気持ちよく寝ている目の前に男に、再度声をかける。


「いい加減起きて下さい!もう朝ですよ!!」


 割かし大きめの声で、起こすように、少し呆れたように。


「・・・んぁ」


 何と間抜けな声なのか。ようやくお目覚めのようだった。


 気だるそうにモソモソと、オフィスチェアーから動き始めた。漆黒色の髪の毛はボサボサで、両目は半開き。これまた黒いスーツに白のカッターシャツのまま眠りこけていたようだ。おかげで、スーツはあっちこっちに方向がズレてシワになっている。


「おはようございます。カナリアさん」

「おはようございます。寝坊助さん」


 ふぁぁ、と控えめな欠伸を挟む。


「黒入さん、貴方の髪型と服装がめちゃくちゃですよ」

「あぁ、この格好のまま眠っちゃってて。お恥ずかしいところを」


 後頭部をポリポリと搔きながら、カナリアをあしらう。

 多分、全然恥ずかしがっていない。


 まったく・・・、と肩を竦める。


「それで今日はなにか用ですか?」


 黒入は姿勢を正しカナリアに向かい直す。

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