【打切】始祖となりし一族の悲哀

チン・コロッテ@少しの間潜ります

第1話 プロローグ(世界観)

 これは剣と魔法の世界において、魔法というものがもたらせられたときの話である。


 かつて、世界は一つの大陸から成り、その世界には知性を持つ種族が三つしかいなかった。体毛の濃い人型の獣人族〈ボルボテア〉、大樹から産まれる人型の植物人族〈ナルマテア〉、そして所謂普通の人間族〈ミクステア〉であり、これらの種族を総じて〈ヒト〉と呼んだ。後にそれらはより細分化され、幾つもの呼称を持っていくことになるが、当時は世界自体がまだ幼体で、全てが曖昧で混沌とした発展途上にあって、種別という概念についての解像度が低かった。中には後の歴史の中で潰えた種族もいる。そんな過渡期にある世界にあって、各種族は剣や弓により争い、また融和を繰り返しながら、この当時は獣人族〈ボルボテア〉と人間族〈ミクステア〉の二つの国に分かれ、植物人族〈ナルマテア〉がそれぞれの国の森に暮らすという生活を営んでいた。


 その年、青白き彗星が四つに分かれ、うち二つが地上に落ちた。それは地上に分厚い雲をかけ植物を枯らし、大地を燃やして"人ならぬ者共"を産んだ。それらは人に、"火から還りし土人〈ベオ・ウールシ・ガンへ〉"と名付けられた。奴らは人の血を求め彷徨い、飢饉に苦しむ人の村を次々に襲った。そして、逃げ惑い失い続けた人々は空腹に堪えられず、他所の村を襲った。こうして世界はおよそ半年の間に闇の混沌と化し、人々は滅びのときを迎えようとしていた。



 

 

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