3.キャラクタープラモデルよ、永遠に

 さて、今回は美プラの話題からさらに拡大して、キャラクタープラモデル全般の話を箸休め程度に話していきたいと思います。前回長くなりすぎたので。

 というのも、ここ最近の版権ロボ系の充実っぷりと、AMAKUNITECHのジェネシックガオガイガーを買ってテンション上がったので、その勢いです。


 1960年、アメリカとソ連の宇宙開発競争が激化する最中、日本では初めてのキャラクタープラモデルが発売されました。

 それは鉄人28号。ゼンマイ式の動くプラモデルです。

 鉄人28号はそれ以前のプラモデルとは違い、可動式ということから玩具としての色が強く出ていました。

 当時の価格は350円ほどだったとか。今だと4000円近くになるんですかね?

 余談ですが、同じく動力を持つプラモデルで、今も続くシリーズといえばゾイドがあります。

 1983年に発売されたシリーズ第1作であるガリウスは、600円弱でした。


 昔の完成品玩具といえば高級品で、金銭面の問題で手が出せない場合、組立式のキットを買って自分で作るというのが一般的だったそうです。

 個人的には今も完成品は高いという印象はありますけどね。

 それでも、親御さんが財布のひもを緩めるギリギリのラインを狙う、バンダイのニチアサ系玩具にはただただ感心するしかないです。DXタイムロボとDXブンブンジャーロボの値段、ほぼ同じくらいだとは。


 少し話は逸れましたが、キャラクタープラモデルとはこういった昔の世相を残しつつ、80年代のガンプラを皮切りとしたリアルロボットブームを経て、玩具の一ジャンルとして今も君臨し続けているわけです。



                  ●



 さて、プラモデルの花形ともいえるキャラクタープラモデルの分野ですが、やはり圧倒的なシェアを誇るガンプラの名前が真っ先に挙がるでしょう。

 少し前なら初心者向け=ニッパーだけで作れる低価格のシリーズっていうのが個人的印象でした。

 しかしエントリーグレードやポケモンプラモに至っては、いよいよニッパーすらいらないところまで来てますからね。

 この圧倒的な間口の広さは、どのメーカーも真似できないでしょう。

 更に自社でブランドの多角的展開もするのだから、バンダイに関しては他社と分けて考えざるを得ない感じです。


 ですが、現在のキャラクタープラモデルの充実っぷりは、バンダイのみの成果ではありません。

 遡ること1980年代。

 ガンプラ求めてお店に並ぶ子供たちの姿は、プラスチックキットを扱う他社に大きな影響を与えました。

 マクロスやボトムズ、ザブングルにダグラム。レイズナーにドラグナーにあれやこれや……。

 スーパーロボット大戦でも馴染みのある面々がこの時期に誕生し、プラモデルとの連動による商品展開を進めていきました。

 これがいわゆるリアルロボットブームです。

 一つの作品の影響によって、今でも名を残す様々な作品が生まれたこの時期は、文字通りキャラクターモデル発展の時代でした。


 また1980年代は、プラモデルの作りやすさも大きく変化していきました。

 欧米では先んじて、スナップフィットという現在のパーツをはめ合わせて作るプラモデルが相次いで発売されました。

 ちなみに日本では、80年代ではまだガンプラでも接着剤を用いたプラモデルが主流です。

 しかし80年も後半になると、いよいよ日本でもスナップフィットが導入されるようになります。

 90年以降になると、一つのランナーへの多色成形や3DCAD導入といった開発環境の向上。

 ブームの中で作りやすさだけではなく、開発製造の面からもプラモデルは大きく進化し、現在の手軽な趣味となりました。

 これは結果的に、ガレージキットメーカーだったコトブキヤやウェーブといった小さい会社もプラモデル業界に参入できるようになり、さらに多くのキャラクターキット。ひいては美少女プラモデルへと繋がっていくわけです。


 近年、インドア、アウトドア問わず、趣味というのは非常に多角的なものになりました。

 この中でプラモデルの販売数は減少傾向にあり、また複雑な構造を持つプラモデルが増えてきたことから、初心者にとっては敷居の高い趣味になりつつありました。

 そんな中での新型コロナ。巣ごもり需要のあおりを受け、プラモデルは今も続く争奪戦の時代へと突入しました。

 かつてのブームとは違う流れの中で、果たしてキャラクタープラモデルはどう変わっていくのか。

 少なくとも、今後とも長くこの世界が続いていってほしいものです。


 というわけで、キャラクタープラモデル全般のお話でした。

 美プラも結局はこのジャンルの一つであり、現在も発展しています。

 更には30MSによるバンダイの本格参入もあり、これまでのような商品では通用しなくなっているでしょう。

 それでも、美プラに携わるメーカー各社が独自の強みを活かし、より洗練されたものを出す努力をしていることは間違いないと思います。

 世界情勢が不安定な昨今ですが、これからも良い物が生まれることを、ただただ祈るばかりです。



 次回予定『行くぞ我らのコトブキヤ四天王』


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