第74話 男の娘

 若葉の脱がしたパンティを傍らへ置くと俺はスーッと深呼吸した。


 いまから最推しの若葉とひとつになろうとしていて、獲物を目のまえにしたオオカミのように息を荒げてしまいそうになっていたからだ。


 興奮しているのは俺だけじゃなく、若葉も口に手を当て恥ずかしそうにしながら、期待と不安からか膨張した俺のズボンを凝視する。


 すでに彼女のおっぱいも股間も俺にペロペロされて、若葉いわく、


「も、もう……我慢の限界です……」


 ということらしい。


「最後にひとつだけ訊かせてくれ。俺でいいのか?」


 固有スキルで調べれば一目瞭然ではある。


 だが若葉自身の口から聞きたいのだ。


 不安だから訊ねたというより、若葉からの愛の証明が欲しかった。『スクダイ』本編じゃ、彼女は雅人に寝取られ、俺たちは悲しい結末を迎えてしまうが、いまはその雅人は行方知れず。


 あとは若葉から俺への想いを知るだけ……。


「兄さん以外、誰が私をしあわせにしてくれると言うのですか? 兄さんのことが好きすぎて……素直になれない私なのに兄さんはひとつも怒ることなく受け入れる。いいえ、むしろツンとしていてもやさしい眼差しで愛でてくれました。もう私は兄さんと結ばれる他ないと思ってしまっています……」


 俺もすっかり『スクダイ』世界に馴染んでしまったのか、あろうことか保健室で義妹の若葉と繋がりを持とうとしていた。


 俺の推しキャラだった若葉のあられもない姿に緊張からか、思わずベルトを外す手が震える。ズボンを下ろし、さらにパンツをまでをも脱ごうとしたときだった。


「よお! お盛んだな、くくっ」


 カーテンの隙間から秋月先生の顔がにゅっと現れ、俺たちの求愛行動をにやにやと観察していたのだ。


「きゃっ!?」

「せ、せんせいっ!?」


 若葉は手でめくれたスカートを直し、露わになったおっぱいを覆い隠して、薄いお布団をかぶってしまう。


「あーあー、なにも隠さなくても。そのまま続けたらいいじゃん。あたしに見せてくれよ、二人のえっち!」


 俺と肩を組んできて、にかっと笑う秋月先生。


 普通なら怒られて、停学もあり得るというのにエロゲ世界の保健の先生の理解が良すぎることに俺はただただ戸惑うばかりだ。


 驚きはそれだけに止まらず、カーテンの隙間から入ってきた秋月先生のJKの制服姿たった。


「なんで先生が制服着てるんですかっ!」

「あん? あたしが着ちゃダメか?」


 先生はとっくに二十歳を越えてるはずなのに、染めた髪をポニテにまとめて未だに現役ギャルJKって感じで、めちゃくちゃかわいい……。


「おっ!? なんだ八乙女、まえが膨らんでるぞ。はは~ん、もしかしてあたしとヤりたいとか?」

「いや、俺は若葉と……」


 お布団で顔半分を隠した若葉は、うんうんと頭を縦に振って激しく同意していた。


「そっか……やっぱBBAとはシたくねえよなぁ~。若い奴の方がいいよなぁ~。やさぐれた女とヤんのなんかいやだよなぁ~」


 先生は妙に自虐的なことを吐き出していたのだが諦めきれないのか、短いスカートをめくって俺を挑発してきていた。


 40デニールと思しきストッキングの透け感と光沢がスラリと伸びた先生の脚を美しく際立たせおり、俺はごくりと息を飲み込む。ゆっくりとせり上がるスカートに俺の目は釘付けになって、先生の美脚を凝視してしまっていた。


「なっ!?」


 先生のパンティが見えようとしたとき、俺は自分の目を疑った。


 JKがガーターベルトをしているだとっ!?


「おっ、やっぱ見やがったな。どうだ、ヤル気になったか? もっと見たいならぜんぶ見せてやるぞ、ほれほれ」

「そ、そ、そんなJK居ませんよ……」


 顔を背けているのに、どうしても先生の三角地帯へ目がいってしまう。だが先生はスカートを閉じるとベッドに寄りかかり、若葉へ訊ねた。


「なあ……若葉。ちょっと善行をあたしに貸してくんね? 一回でいいからさ」


 目を見開いて、先生を見た若葉だったが即座に言葉を返す。


「だ、だめです……いくら先生でも兄さんをいやらしいことに使うなら、お貸しできません……」

「ん? いやらしいこと? あたしはただ八乙女と勝負がしたいだけなんだがなぁ……」


 ぽりぽりと頭をかいて、若葉へ説明した先生だったがそのあとに続く言葉に俺たちはぎょっとした。


「あたしはさ、強い男が好きなんだよ。あたしを倒した強い男に抱かれるとか良くね? あたしに勝てんのは八乙女ぐらいしか居ねえから!」


「それこそ買いかぶりってもんですよ。俺が先生に勝てっこないです」

「ああ、なるほど。喧嘩じゃ勝てねえけど、ベッドならあたしをヒーヒー言わしてくれんだろ? そりゃ楽しみだ!」


 どうしてそうなる……。


「に、兄さん……私気分が……」

「同感だ……」


 秋月先生はビッチという描写はない。


 保健室に来て体調が悪くなるというのも変な話だが、ヒロインたちを助けるためとはいえ若葉をやきもきさせ過ぎたことがなにより辛かった。


「なんなら3Pでもいいじゃん!」


 あっけらかんと言い放った先生に若葉はベッドから起き上がるとブラウスのボタンをそそくさとはめて、保健室のドアへと歩いてゆく。


「失礼いたします」

「若葉!」


 俺は、そのまま出て行ってしまった若葉を追いかける。


「先生……ごめんなさい」

「待て、八乙女」

「先生……俺は……もう若葉以外とするつもりは……」

「そうじゃねえよ。あいつ……パンツ忘れてっぞ」


 ふぁっ!?


 秋月先生から若葉の脱ぎたてパンツを受け取り、先を歩く若葉を追いかけた。


 いま若葉はノーパン……なんだよな。



 しまった!


 慌てて追いかけたにも拘らず、すでに若葉は教室へ戻ってしまっていた。


 義妹の脱いだパンティを胸に抱いた俺……。こんなの見つかったら義妹をノーパン羞恥プレイさせる変態兄貴のそしりを受けても仕方ない。


 もう授業はすでに始まっており、若葉に下着を返すのはおろか話しかけることすら難しい。


「いま戻りました」

「ああ、もう授業を受けてくれ」


 眼鏡を日本史の先生は俺の席を指差して、着席を促していたが若葉を送って保健室に長居していたことには触れなかった。


 教室のまえに立つとクラスメートたちの表情がありありと分かる。俺は若葉のことも気になったが……。


 なっ!?


 俺は目の光景が信じられなくて、目にごみが入ったんじゃないかと腕でこすったが、まったく変化がなく俺の瞳はまともに機能しているらしい。


 雅人の席には、どっからどう見ても女の子にしか見えない子が座っていたのだから……。


―――――――――あとがき――――――――――

新作書きました。

【勇者学院の没落令嬢を性欲処理メイドとして飼い、最期にざまぁされる悪役御曹司に俺は転生した。普通に接したら、彼女が毎日逆夜這いに来て困る……。】

石鹸枠の悪役に転生したラブコメです。


https://kakuyomu.jp/works/16817330665423914887


よかったら見てくださ~い。

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