第49話 図書室での秘め事

――――図書室【回想】


 本とは無縁の雅人は図書室を訪れ、夕霧を口説いていた。


「恵麻はかわいいんだから、髪切っちまえよ。もったいねって」

「わたしなんて、ブサイクだから」


 放課後、夕霧は図書委員として受付をしていたのだが、閑古鳥が鳴いているのをいいことに、雅人は夕霧と本棚と本棚の間に隠れた。


 くっくっくっ、夕霧がオレ好みのどちゃクソかわいい女だったとはなぁ! こいつはぜってーオレの女にしてやんねえと、ビッグマグナムの収まりがつかねえ!


 手の早さにかけては右に出る者がおらず、さすがとしか言いようがない。


 迫る雅人に夕霧は本棚を背にしており、雅人は夕霧の前髪をかき上げる。前髪はまるで秘宝を隠すために覆われていたかのようで、澄んだ瞳が姿を現していた。


「恵麻……本当に綺麗だ。オレの知るどの女よりもだ。男子どもが知れば全員手のひら返して、告りにくんだろう」

「そんなことない……」


「いいや、おまえを地味子なんて馬鹿にしてた女どもこそブサイクの極みってもんだ」


 雅人は内心自分も夕霧のことを地味でヤル価値もねえ、カビの生えた女と思っていたくせに自分のことを棚に上げて、クラスメートたちを非難する。


「ほ、ほんとに? わたし、自信がなくて誰かに認められたくて、えっちな動画を上げちゃうような変態なんだよ……」

「やっぱり“えなこ”は恵麻だったんだな」

「う、うん……みんなにはナイショだよ」


「オレはえなこの大ファンなんだ。配信のときはいつもスパチャを贈らせてもらってる。よしろんって垢なんだけど、知ってるか?」

「えっ!? 雅人くんがよしろんくんなの!?」

「はは……ちょっと恥ずいな」


 夕霧は驚いて視線は雅人に釘付けになり、雅人への好感度が一気に急上昇していた。


 だが……。


 勝手にもっとも夕霧に貢いでいるアカウントを名乗る雅人だったが、雅人は一銭も出していない。


 なぜなら、よしろんは善行のアカウントでえなこが夕霧であることを知っていた善行は純粋に彼女を応援しており、配信とSNSにエロいものをアップするのを止めておいたほうが良いとたしなめていた。


 図々しいにもほどがあるのだが、その雅人の図々しさは止まるところを知らず、夕霧に決めゼリフを置きにきた。


「なあ恵麻……オレだけのえなこになってくんねえかな?」


 決まった!


 オレって超かっけー!!!


 自画自賛する雅人だったが夕霧は沈黙した。


「……」


 馬鹿な! オレの最っ高の口説き文句がしくじっただと!?


 漏れる雅人の心情。鋼のメンタルを持つ雅人でも、1000パーセント落とせると思った相手から沈黙され、しくじったとなるとノーダメージとはいかなかった。


 必死に平静さを取り繕って、夕霧に伝える。


「おっとすまねえ……ちょっと臭すぎちまったなぁ、さっきのは忘れてくれ」

「いいよ」


 夕霧はあくまで雅人の言葉をつき合うことと捉えたのだが、雅人は無遠慮に夕霧の胸をブラウスの上からまさぐってきていた。


「だ、だめぇ……」


 いきなり身体に触れられ、恋愛未経験でうぶな夕霧は雅人の手を掴んだが、雅人はすかさず夕霧の大きなたわわの谷間に顔をうずめて、息を吸い込んで夕霧から漂う香りを堪能する。


 そのとき夕霧はビクンと大きく跳ねた。


 雅人はもう一方の手を夕霧の下着のなかに差し入れ、敏感なところに触れていたから。


「なあ、恵麻。オレはおまえのこと好きになっちまったんだよ。いいよなぁ? かわいい恵麻を見てたら、もう我慢できねえよ」


 敏感なところをいじられたせいで雅人を掴んでいた手は外れ、逆に雅人に掴まれてしまい夕霧は雅人のズボンのファスナー付近をなでさせられていた。


 コワい!


 夕霧は雅人の性欲に恐怖を覚えて、逃げようとしたのだが後ろを向いた途端、雅人はニヤリと笑い、夕霧の下着をずりさげた。


 ここでそのまま本能のまま夕霧を貪ってしまうと強姦と変わらないが、ただのクズ男たちと雅人は一線を画しており、夕霧の腰を掴んだ雅人は顔を下半身に寄せて舐めだしてしまう。


―――――――――自主規制――――――――――


チーズがとろとろに溶けちゃった……。


―――――――――自主規制――――――――――


「恵麻、ほしいならほしいって言ってみて」

「あ、うん……こ、こんなのらめなのにぃぃ……」


 雅人の女をイカすテクニックにより夕霧はよだれをだらだらと垂れ流してしまっていた。心は雅人を拒絶しているのに、身体は雅人が欲しくてたまらない。


 ガラガラッ!


「うぃーっ! 本を借りにきてやったぜ!」

「!?」


 2人が本棚の間で絶賛準備中にも拘らず、図書室のドアが開いて、男の声が響いた。恵麻は男の声に反応したのか、床をぼたぼたと落とした滴で濡らしてしまう。


 ぷるぷると自由の利かない身体で夕霧が棚の縁から、受付のほうを見ると読書など無縁と思われた日下部が訪れていた。


 なんで日下部くんが!?


 夕霧が思わぬ来客に驚いていたときだった。


「ひぐっぅ!?」


 夕霧が下腹部に走った衝撃で振り向くと雅人が彼女の腰に自分の腰を打ちつけている。


―――――――――自主規制――――――――――


拍手するとどんな音がするかな?


―――――――――自主規制――――――――――


 満足して賢者化した雅人はペタンとカーペットの床に音もなく尻もちをつき、雅人に大人の女にされてしまった夕霧は本棚に持たれかかった。


「なんだよ!誰も居ねえのかよ!」


 不思議なことに足音は本棚の手前でピタリと止まり、日下部は教室を出て行ってしまう。


 安心した夕霧だったが、このとき日下部が2人の行為に気づいており、隠しカメラを置いていったとは心にも思っていなかった。



――――【回想終わり】


 俺は雅人が日下部の登場に驚かなかったことに違和感を覚えていたが、裏でつながっていたなんて図書室の時点では気づかなかった。


 クソどもに夕霧の人生、メチャクチャになんかさせねえ!


 まあ、フラグはバッキバキに折っておいたから、夕霧が身体を売るなんてことにはならないと思う。


 だけど、悲しみが収まらない。


 俺が回想を終え、丸椅子に座って夕霧を見守っていると彼女はゆっくりとまぶたを開いた。


「や、八乙女くん!? どうしたの、涙なんか流して……」

「えっ、あ、これは目にゴミが入ったんだよ」


 夕霧が雅人たちにおもちゃのように扱われていたのに、雅人を信じ続けた彼女の想いに俺は泣いてしまっていたらしい。


 寝転びながら左右に首を振って、状況を把握しようとする夕霧だったが、途端に顔を赤く染める。


 まるで昏睡状態の夕霧が目覚めるまで見守るといった感じで彼女の手を両手でしっかり握ってしまっていたから……。


―――――――――――――――――――――――

雅人と日下部にきっつい制裁を課して、絶対に恵麻たんをしあわせにしてくれ~という読者さまはフォロー、ご評価お願いいたします。


【現実は小説よりも奇なり】

原田がハラマセオーにヤられるネタを書いたんですが……たまたまYouTubeで動画漁りしてると見つけました。まさか実際にそういう事件があったとはガクブルです!!!

ご興味ある勇者さまはWiki先生の“イーナムクロー馬姦事件“で調べてみてね。

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