第37話 無自覚エロス

『ぼくはちゃんと先生の誘いを断ったのに、先生がぼくをレイプしたんですーーーーーっ!』


 雅人が言い放った第一声。


 その場にいた一条先生はもちろん、校長先生たちまで衝撃を受けていた。通常なら男が女に襲われるということはほとんどない。だが年上、上司、教師など立場がうえの者に迫られた場合はありえない話じゃなかった。


 印象操作って奴なんだろう。


 校長先生たちは雅人の言葉を真に受け、一斉に一条先生に注目が集まる。その目は聖職者ともあろう者が……といった侮蔑に満ちたものだった。


『ち、違うの……私が夫に愛されないことを稲垣くんに相談していたら、深い仲になっただけで……』


 ――――なるほど稲垣に拒まれ、襲ったと。


 ――――選ぶなら若いつばめなんですなぁ。


 ――――生徒とただれた関係とか不潔。


 聞き取り調査をしていた先生たちから、一条先生に向かう心ない野次の数々。


 一条先生は人目を引く麗しい容姿だけに生徒はもちろん先生たちからモテた。


 だが天然で思わせぶりな態度を取っていた先生だったが身持ちは意外と固く、身体を許したのは雅人だけで、男女問わず先生たちから反感を買ってしまい、聞き取り調査では擁護してくれる先生はおらず孤立無援だった。


 理由はどうあれ、一条先生が生徒と不倫関係にあったことは事実なので彼女は唇を噛み締め、ぐっと野次にもひとことも反論することなくたえており、俺は見ていて泣きそうになった。


 一方、雅人はというと……、



 くくく……みゆきは終わりだな。オレは無罪確定!!! 女教師のタダマン、マジ最高だったわ。



 なじられる一条先生を見て、雅人は外面は悲しそうにしながも、心のなかでほくそ笑んでいた。


『ぼくは先生に憧れていただけなんです。恋愛とか考えてませんでした……ううっ、ううっ』


 もっともらしいことを言って、先生たちのまえでうそ泣きする雅人だったが、人を欺くことには長けた雅人を信じてしまった先生たちは一条先生から遠ざけ、別室で聞き取りすることになる。


 その後の聞き取りでも一条先生の言い分はまったく聞き入れられることなく、調査が終わったあと、ひとり会議室で残された一条先生のまぶたから一筋の滴がこぼれ落ちていた……。



 これが生徒と教師のアバンチュールだけなら、まだ救いがあった。だけど一条先生は雅人に避妊具ゴムなしでのセックスを頼まれ、押しに弱い先生は許してしまう。


 その結果、先生のお腹のなかには雅人の子どもが宿っていた。


 原田はクソだったが、子どもができてしまったら渋々ながらも育てようとする責任感のようなものは持ち合わせていた。だが雅人にはそんなものは皆無。


 やり飽きたら、捨てる。


 “人間のクズ“とよく言うものの、そういう人物っていうのはごく一部で、少なくとも『スクダイ』の雅人はその限られた“人間のクズ“であることは疑いようのない事実だった。ちなみにNPCたちがそれに気づくのはエンディングを迎えてからである。


 浮気はダメと最後まで耐えていた先生を落とすために雅人はもっと言ってはいけない嘘をついた。


【みゆき! オレが卒業したら結婚しよう】


 残念なことに雅人の嘘を真に受けてしまった先生は雅人と一夜をともにしてしまった。



 改めて雅人のクズっぷりに辟易しながら回想を終えた俺の目のまえには、エロスの女神といった一条先生がいる。


 先生は見た目こそ、エロ女神そのものだったが貞操観念はそこまで低くはない……と思いたい。優しくレスだった先生に雅人がつけ込んだだけだろう。


 だがノースリーブのニットにミニスカは反則だ!


「ごめんね、急に呼び出しちゃって」

「いえ、構いません。それより俺に話ってなんでしょうか?」


 転生して大人を知る俺でも、エロ女教師の理想を具現化したような一条先生の大人の色香にはくらくらきてしまう。


 セクシー女優に女教師をさせているようなシチュエーションに鼓動がやたらと早くなってしまう状況にたえるのが精いっぱい。


 椅子に前屈みになり小さくなって座っている俺の隣に、先生がこつこつとヒールを鳴らしながらやってきて、耳元でささやいた。


「原田先生が学校を辞めちゃったのは、八乙女くんが絡んでるんでしょう?」

「ご存知なんですね……」


 近い、近い、近いぃぃぃーーー!!!


 俺の目のまえには先生の乳房がゆさゆさと揺れて、当然俺の心もゆさゆさ揺さぶられる。


「あっ、べつにとがめようとかじゃないからね。私も助かった口だから……」

「まさか先生も原田からセクハラを?」


 ああ、たわわが離れてゆく……。


 俺の問いに先生は距離を置くと俯き、少し悲しそうな表情をした。


「原田先生のアプローチがちょっと強引だったから……。でもそれも八乙女くんのおかげでなくなったわ。そのお礼をしたかったの」

「お礼なんて……。俺はただ原田にいいようにされてる友だちを救いたかっただけですから」


 ん? お礼を言いたいじゃなく、したいとは?


 俺が先生の言葉に違和感を覚えていると、先生は俺の対面の席にセクシーな美脚を見せつけながら着座する。


「八乙女くんから見て、私って魅力ないのかなぁ……」

「えっ!?」


 先生は自虐気味につぶやいたかと思うと美脚を組み替えていた。


 紫!?


 組み替えた瞬間、俺の脳を突き抜ける視覚情報に下半身がフルアクティブしていた。俺の動体視力は駅を通過する新幹線の乗客の顔すら視認できるくらいだから、たとえ無意識であろうとも先生のパンチラを見逃すはずがない。


 魅力がないどころか、先生の旦那さんは一条先生に精力を搾り取られすぎて、レスになったんじゃないかと勘ぐってしまう。


「う、うううん~疲れたぁぁ~!」


 俺の股間事情などお構いなく、先生は魅力をガンガンぶつけてくる。若い雄の俺の目線を気にしてないのか、椅子の背もたれに体重を預けて、両腕を高々とあげながら大きく背伸びしていた。


 おすを吸い寄せるかのような脇のつるつるすべすべの柔肌に、反ったことでニットの縦筋により強調されるビッグバストを見せつけ、アンニュイ気だるいで色っぽい吐息を吐いて、俺をあざとく挑発しているようにしか思えない。


「八乙女くん、ちょっとお付き合いしてくれるかな?」

「お付き合い!?」

「そんな身構えなくても大丈夫。プールでいっしょに泳ぎたいな~って思ったの」


 そこに来て、ぺろっと舌を見せ少女のようにおどけた笑みを浮かべて照れるとか、セクシーチート持ちが反則をしたら、抗うことなんてできようか?


 いやできない!!!



 いっしょに泳ぐだけなら、大丈夫。そう思い先生の歩くたびに揺れるおしりと太ももの後ろ姿を堪能しながら、室内プールへとやってきた。


 だけどこの学校の室内プールは問題がある。いや機能に不具合があるわけじゃない。ただとにかく見た目がヤバいのだ。


 傾斜のついたガラス張りの壁面……見た目がセクシービデオご用達の例のプールHanaz○n○ Roomを大きくしたようにしか見えなかったのだから。


 さすがエロゲ世界……なんも言えねえ……。


―――――――――――――――――――――――

一条先生とプールで撮影会かな?www

次回、彼女が水着に着替えたら。

先生とエッッッをご希望の読者さまはフォロー、ご評価お願いいたします。フォロー、ご評価ごとに先生が一肌脱ぎます! って水着一枚しか着てなかったw


昨日は弱音吐いて、ごめんなさい。

気負ったり、がっかりしたりと気持ちが乱高下して冷静な判断を欠いてました。途中、小休止を挟みながらでも続ければ良かったんですね。

【第2回「G’sこえけん」音声化短編コンテスト】と【第18回小学館ライトノベル大賞】へ応募したいので8月下旬から執筆ペース落としたり、休載してご迷惑をおかけしてしまいますが、本作を書き続けたいと思います。

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