エロゲのクズ主人公に義妹を寝取られ、飛び降りるキモオタデブな友人キャラに転生した。あれ、俺ヒロインたちの排○日まで把握してるっ!?

東夷

第1章 エロゲの友人キャラに転生

第1話 NTR【胸糞注意】

――――雅人まさとの部屋。


 ベッドの周りには雅人と若葉の脱ぎ散らかしたブレザーと下着。若葉はベッドの上で身体を震わしており、中肉中背の雅人は息を切らして、ベッドの縁に疲れた様子で座っていた。


 明らかに事後と思われるところに部屋のドアが開き善行よしゆきが現れ、二人を目の当たりにした善行はわなわなと身体を震わし、雅人に静かな怒りをぶつけていた。


「なんでなんだよ、雅人くん……ボクはキミに彼女ヒロインたちの情報を伝えていたよね。なのにボクの大切な若葉を寝取るなんてヒドいぢゃないか……」


 肉だんごみたいに太った善行が涙ながらに非道を訴えるが、目の前の全裸の雅人は善行の言葉に耳を貸さないどころか、さらにあおるようなことを告げる。


「悪いな、善行。若葉はオレがちゃ~んと女にしてやったから。こいつはオレなしじゃもう生きていけない身体になってしまったんだよ!」

「兄さん……出ていってください! あなたの顔なんて見たくありません……」


 シーツで胸元を隠した美少女の若葉が義兄の善行にベッドボードに置かれたティッシュの箱を投げつけると善行の頭に当たって跳ねた。善行は運悪く箱の角が当たってしまい額から血を流す。


 だが善行はそんなことにひるむことなく、ただ一点だけを見つめていた。


「う、うわぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!!」


 投げる動作でシーツが引っ張られ、ベッドにべったりとついた血痕けっこんが見えてしまい、善行は断末魔にも似た叫び声をあげて、額から流れる血に気にも止めずに頭を抱えて膝から崩れ落ちる。


 それを見た若葉はぷいっと目を背けて、善行をまったく見なくなってしまっていた。美しい輝きを失った美少女の瞳からは、ひとすじの涙がこぼれ落ちていたが、心を強く打った善行は半死半生状態であり、彼にその想いが届くことはなかった。


 そこへ追い討ちをかけるように雅人は言い放つ。


「はっはっはっ! やっぱよぉ、善行みてえなキモオタデブはいやなんだとよ。おまえに若葉がイクときの声を聞かせてやりたったぜ! 最初は抵抗していたが、オレの女どもを落としまくったテクで愛撫してやると、どうだ? 若葉のほうから股を開いてきやがったんだよ、『入れてください』ってな!」


「若葉はそんな子ぢゃない! 雅人はボクをだましたように嘘をついてるんだ。若葉はボクになにひとつ嘘をついたことなんてない。心が清らかで、何者にも屈しない気高い誇りを持った女の子なんだよ!」


「か、勘違いしないで! 私は兄さんのことなんて、これっぽっちも好きになったことはありません! もう雅人さんの女になったんです……」


「嘘だ、嘘だ、嘘だっ!!! ボクは若葉が雅人に寝取られたなんて信じない。ぜったいに信じないぞ!」


「もう止めてください! 最初から兄さんが大嫌いだったんです。私がちょっと微笑んだりするとすぐにだまされて……あなたは馬鹿さ加減には飽き飽きです。これから私は雅人さんと楽しむので、分かったらさっさと小屋へ戻って欲しいですね」


「あ、あああ……あうぅぅぅぅ……わぁぁーーーーーっ!!!」


 小屋……善行の身なりを見て、若葉はさげすんだように言い放っていた。


 もちろん若葉が本心から善行にそんなことを言いはずもないのだが、愛する義妹が誠心誠意尽くしてきた友人に寝取られたことを目の当たりにした善行には若葉のひとことは聖人の胸を貫いた槍のごとく心に深く突き刺さってしまう。


 善行と若葉の二人はこのエロゲ唯一の心温まる純愛だったはずなのに、もはや悲劇としか言いようがない……。


 若葉は善行の優しさ、人の良さに冷たく閉ざした心を開いて好意を抱くようになっていたのだが、雅人が善行のあることないことを吹き込んだ上に、教室内でキスしていた場面を雅人に隠し撮りされており、若葉は雅人に強請ゆすられた結果が奴に寝取られる……のである。


 だが善行を守るために身を呈して、雅人に処女を捧げた若葉の自己犠牲は、善行自ら命を絶ってしまうさらなる悲劇を呼んでしまう。



 場面は変わり、善行は学校の屋上に来ていた。首には紫に変色した筋が走っている。自分の部屋で首を吊ろうとしたが、善行自身の体重のせいでロープが天井から外れて死にきれなかったのだ。


「ダメだ……ボクはもう若葉なしぢゃ生けていけない……。義妹いもうとだけがボクの生き甲斐だったのに……」


 いつもなら高所恐怖症のために足がすくむというのに何故か、このときだけはまったく恐怖を覚えなかった。たぶん若葉の心が自分から離れたことによって、生きる意味を失ったと思ったからだろう。


「若葉……ボクが生まれ変わったら、今度は雅人になんかにキミを渡したりしないから!」


 グチャリ……。


 善行はその言葉を人生最期につぶやいたあと、中空へ足を踏み出す。一気にバランスを崩した身体は地面に叩きつけられ、トマトのようにつぶれてしまっていた。


 そこへ登校してきた生徒たちが善行の飛び降りを見て、悲鳴を上げていたが一際大きな声で慟哭する者がいた。


 若葉だった。


「に、兄さん……兄さん……うわぁぁぁーーーん」


 朝早く登校したこと、体格から善行だとすぐに分かった若葉は善行だった肉塊に駆け寄り、血まみれになりながらも、覆いかぶさるように抱きしめていた。


 その後ろでほくそ笑んだ雅人。




 す、救われねえ……。


 俺は職場の後輩が持ってたエロゲ『どきどきスクールダイアリー』を実況しながらプレイしようと思っていたんたが、想像を遥かに凌駕りょうがする胸糞さにクリックする手が止まってしまった。


 いやアニメ版を見て、だいたいのストーリーは把握してたんだけど、ここまでとは……。若葉を寝取るルートなら雅人の野郎は若葉と婚約まで話が進んで、善行の代わりに名家である八乙女家の婿養子に立てられたのち莫大な財産を手にいれ、寝取った若葉を蔑ろにして更なる放蕩ほうとうを尽くす。


 なろう主人公のクズっぷりが実にかわいらしいと思えてくるほど、雅人は真正のどクズと言えた。


 気分悪……っ。


 さすが主人公のくせに“マサト死ね!“が流行語大賞になってしまうのもうなずける。後輩へ《マジ胸糞》とLINEを送ると、《でしょうw》って返ってきて、余計に腹が立った俺はコンビニに酒を買いにいき、


 グビッ、グビッ、グビッ……。


 ブフォァァ……とアルコール臭い息を吐いたのだが、ぜんぜんっビールが美味くねえ。ビールではまったく酔える気がしなくて焼酎やら日本酒と追い酒をしながら、しこたま飲んだまでは意識はあったのだが……。




 ん? なんだこの豚足は?


 まさか豚に転生したとか?


 はは、ないない。


 『豚のニラレバ炒めは余熱しろ』じゃあるまい。


 俺の腕はもっとがっちりしていたはずだ。ちょっと深酒が過ぎて、酔ってるんだろう。


 二度寝だ、二度寝。


 俺が二度寝を決め込もうと布団を前脚で掴んでかぶる。


 あれ? 俺……床にそのまんま寝てたはずなんだが……まあ細かいことは起きてから考えよう!


 そう思い目を閉じたときだった。


「兄さん! 兄さん! 起きてください」

「んあ?」


 ゆっさゆっさと身体が揺すられて、目を開けると銀色に美しく輝く髪にエメラルドグリーンの瞳の美少女が俺を見下ろしていた。


「もしかしてキミは若葉わ・か・ば……!?」

「そうです、私以外、他の誰に見えるんですか?」


 えっ!? どゆこと???


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ども転売ヤーによって、美プラ(シャニマス櫻木真乃)が買えなかった作者です。

マサトと転売ヤーにざまぁを希望される読者さまはぜひフォロー、ご評価お願い申し上げます。入れていただけますと一つ一つが黒ひげ危機一髪のように樽に入ったマサトのケツアナに剣が刺さるかもw 作者は転売ヤーの部屋が売れずに残ったデンドロビウムとネオ・ジオングで埋め尽くされることを祈願しておきます。

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