第4話 見つけました!

現状を伝え終わるとまず母親がブチ切れたの。

こんな貧乏領主の妻には勿体ないほどのたおやかな美人な母。

そんな母がキレるところ初めて見た気がするわ。


今すぐ伯爵領に攻め込んでやる!と息巻いている母をなだめる父もまたキレていてなだめる方向性がちょっとおかしかったわ。

そもそもうちは貧乏領地だから攻め込むとか無理でしょうに。

「お母様いったん落ち着いてくださいませ。騙されたのはお父様とお母様の忠告を聞かなかった私が悪いのですから。」

そもそもそれが発端だしねー

「それでも貴女が幸せならばとろくに調べもせずにお嫁に出した私達も責任があるわ。こんな事なら見栄はらずにお兄様にお願いしておけば…」

お兄様?お母様は実家とは疎遠とは聞いていたけど。

「それを言うなら私も意地を張らずに父上に…」

ちょっ?お父様まで?!

この2人実は駆け落ちしたの?って思うほど親戚付き合いしてないのよ。

領地持ってる時点で駆け落ちでは無いとは思ってたんだけどさ。

まぁしばらく様子を見させて欲しいと頼み込み会話を終わらせてから書斎で現状の整理をするために色々書き出しておこう。

手紙用なのか真新しいインクとレターセットは置いてあるけど紙が欲しいかな。

引き出しなどを漁ってみると、黄ばんだ紙を見つけたんだけど、それとは別に鍵のかかった引き出しもある。

鍵穴はあるんだけどどうもコレ飾り穴ぽいんだよね?

こじ開けようと引っ掻いた跡が有るんだけど穴が塞がってるという感じ。

魔法錠かもしれないがこう言うのってどっかにヒントとか隠していると何かで聞いた事があるんだよね。

という訳で一つ下の引き出しを取り外してライトで照らしながら引き出しの底からチェーック!!

こう言うのって近くにヒントあるはずよねー

「ビンゴ!」

速攻で見つけて面白みは無いけど書いてある言葉にちょっと固まる。

【合言葉はアラビアンの洞窟を開けるあの人のあの言葉!】

日本語じゃん!

そしてまたベタな合言葉付けたのね…

まぁ、気を取り直し引き出しを戻してからいざ!


『ひらけごま』

日本語で合言葉を言うとカチャっと小さく音がして引き出しが少し開く。


開いちゃったねー


中に入っていたのは古い本と黄ばんだ手紙


手紙には

【この引き出しを開けた同胞へ】

と書いてあり中を要約すると、やはり転生者で偶然以前の転生者でもある歴史に残る賢者の書き残した日記を手に入れたそう。

それを使ってお家を発展はさせたようだけど自分が賢者になるつもりは無かったので他人にはほとんど能力は隠していたらしい。

子孫に残してアホが居たら困るのでまた転生者が現れたらコレを譲るつもりだったが結局そうならなかった為にここにしまっておいたらしい。

賢者の書をさっと見る限り日本語で書かれているので確かに受け継ぐのは読める人間の方が良いってのも分からないでもないよね。

物語になってる伝説の賢者が元日本人であったのには不思議と納得のいく部分はあるが、まずは所有者登録をした方が良さそう。

手紙にはまずそれから行えばその所有者が生きている限りは他人には読めないようになっているとの事だ。

方法は簡単!

カタカナで現在の名前を書けば良いらしく、賢者、ここの主だった過去の当主、の名前が書いてある。

【シルクビィア・ユレーヌ】

書き終わると一瞬魔力を吸われる感覚がしたが特に何か変わった事は無かったのでコレで大丈夫なのかは不明だ。

その日は結局覚え書きを作るのは後回しにして昼食も取らずに賢者の書を読み漁ってしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る