解離性同一性障害

浜田まひる

第1話


 青年が駅の構内でしゃがみ込んでいる。

沢山の人々が行き交っている。

誰も青年の事には興味がないかの様に通り過ぎて行く。

私は、ふと立ち止まり青年に声をかけるが青年は空を見る様に朦朧としていた。



私、鈴木杏はその青年の様子を伺っていた。

青年は急に我に返ったかの様に私の顔をジッと見つめていた。

そして、こう言った「ここは何処ですか?」とまるで別人の様にすくっと立ち上がっていた。

私は「さっき、しゃがみ込んでいて具合でも悪いのかな?と思って」と答えていた。

青年は「あー時々こうなるんです、ここは池袋駅ですか?」と聞いてきた。

私は「そうです池袋駅の東口です」と答えていた。

青年を見ていると私は(まるで迷子の子犬みたいだ)と思っていた。

青年はまるで少年の様な顔つきで「あの良かったら今からお茶しない?」と誘ってきた。

私は(えっ?ナンパ?)と思ったが「いいわよ」と答えていた。

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