ロスト・クリスマス

かてぃ

ロスト・クリスマス

ロスト クリスマス

♀️楠木 真琴(くすのき まこと)

♂️真波 和聖(まなみ かずあき)

♂️坂本 映太(さかもと えいた)

♀️産婦人科先生

♀️店員飲食

♂♀️どちらでも:ガヤ


🍀

社宅公園

(子供の声などガヤガヤしているSE)


真琴

「和くんこっちでブランコしよ〜」



和聖

「僕が1番だぁ〜お母さん真琴ちゃんと一緒に写真撮って」


真琴

「和くんはお写真好きだね」


和聖

「うん!だって僕と真琴ちゃんの思い出をいっぱいいーっぱい残したいんだ」


真琴

「健太くんは明日お引越しだって。佳奈ちゃんもこの間お父さんのお仕事でお引越ししちゃったし…」


和聖

「僕のお父さんと真琴ちゃんのお父さんは仲良しだしいつも一緒にお仕事しているから大丈夫だよ。また一緒の場所にお引越しするさ。」



真琴 ナレ


父親の仕事の関係で私たちは官舎にいた。

横浜に住んでいた私達は毎年クリスマスはお互いの家族と一緒に過ごした。



和聖

「真琴ちゃんずっと一緒にいようね」


真琴

「和くん大好き。私和くんのお嫁さんになる〜」


和聖

「よし真琴ちゃん、今度はあっちで写真撮ろ。おかぁさ〜ん」


🍀🍀

数ヶ月後の社宅公園


真琴

「バイバイは嫌だなぁ。和くんのお家はどこにお引越しするの?」


和聖

「僕は九州だよ。真琴ちゃんのおうちは?」


真琴

「うちは千葉県だってさ。離れ離れになっちゃうね。」


和聖

「大丈夫僕はずっと真琴ちゃんのことが大好きだし忘れないよ。』


真琴

「和聖くん。手紙たくさん書くね」


和聖

「僕も写真たくさん撮って手紙と一緒に送るね。そんで、大人になったらまた横浜のイルミネーション一緒に見ようね」



真琴

「うん…約束だよ。」



真琴 ナレ


こうして2人は離れ離れになっても手紙のやり取りをしていたが、お互い中学、高校と歳を重ねることに自然と連絡を取ることが少なっていった。


🍀🍀🍀

大学構内


真琴

「大学に入って横浜に戻って来たものの一人暮らしだしやっぱりバイトはしたいしなぁ。なんかいいバイトないかなぁ」


真琴

「ここの大学の求人募集はどうかなぁ〜

ん〜家庭教師かぁ。ん写真のモデルのバイト?なんか怪しいなぁ」


和聖

「バイト探してるんですか?ここのバイト就職にもやつ立つらしいですよ。」


真琴

「え?そうなんですか?でもこの写真のモデルって怪しくないですか?」



和聖

「あーそれ俺なんだけどあはは」



振り返り



真琴

「あ、すみません。怪しいなんて言ってあれ?和くん?」


和聖

「お?おー真琴か?元気にしてたか?」


真琴

「本当に久しぶり。なかなか連絡取れなくなっちゃってごめんね。私横浜に引っ越してきたんだ。和くん」


和聖

「そうなんだね。いや俺こそ。俺もこっちで一人暮らししてたんだけど親父とお袋は九州に居てな。ここすうねん親父が体調悪くなってさ。横浜と九州行ったり来たりで忙しくなっちゃって。ってかその和くんってのやめようぜ。俺たち20歳すぎてるんだし」


真琴

「あはは。ごめんごめん。いつもの癖で…で、和聖、おじ様は大丈夫なの?」


和聖

「まぁそこそこに回復はしてるよ。母さんもそばにいるしな」


真琴

「おじさんとおばさんにも会いたいなぁ。あれ、一眼レフ?和聖も写真撮るの?昔写真いっぱい撮って貰ったの覚えてるよ。」


和聖

「あ〜そうだなぁ。母さんの影響か俺も写真好きが高じてコンテストとかに応募したりしてるよ」


真琴

「凄いねーまた写真見せてよ。そうだ!!和聖の話したらうちの両親もまた会いたいって絶対言うよ」


和聖

「また真琴のとこのおばさんのグラタン食べたいなぁ」




映太

「おーい和聖。次の講義始まるぞ〜お?どうした?この美人さんはどちらさま?」


和聖

「おー映太。彼女は真琴。

ほら幼なじみの女の子がいたって話したことあっただろ?それがこいつ。」


真琴

「こいつって紹介酷いなぁ。初めまして。映太さん。真琴って言います」


映太

「おー彼女があの噂の。噂通りの可愛い女性だなぁ。そうだ、真琴ちゃんしってます?」


真琴

「何をですか?」


映太

「こいつ幼なじみの女の子が忘れられなくて長身でイケメンなのに長続きしなくて女性とあまり付き合わないでいたんですよ?」


真琴

「え?そうなんですか?」


和聖

「おい!余計なこと言うなよ。」


真琴

「そうなの?和聖」


映太

「まぁまぁご両人。これも運命だよ。とにかく講義後またここで会おうぜ」


和聖

「そうだな。せっかくだし学食でも行こうぜ」


真琴

「そうね。じゃまた後でね。」


🍀🍀🍀🍀

大学構内食堂


和聖

「映太俺にそれ美味そうだな。俺にも1口くれよ」


映太

「おいそんなに食うなー」


真琴

「………」


カシャ…


真琴

「くすくすくす…」


和聖

「なんだよ真琴!こんなとこ。俺のカメラで勝手に撮るなよ。」


真琴

「ごめんごめん。仲良いなぁって思ってさ。なんか焼けるなぁ」



映太

「そうかな?普通だと思うよ。和聖と真琴ちゃんの仲に比べたら俺なんてまだまだ笑」


真琴

「あはは。そういえばカメラいつも持ち歩いてるんだね」


和聖

「被写体は色々あるからな。」



映太

「でもさ和聖ってあんまり人物は撮らないよな」



和聖

「ん?あ、まぁな。取りたい人物がいなかっただけだよ。」


真琴

「そうなの?前は沢山私と一緒に撮ってくれたりしてたのに?

なんか妬けちゃうな。私の知らない和聖がいる気がする。」


映太

「へぇ〜そうなんだーほぉ〜」


和聖

「なんだよ。うるさいなぁ映太は。そうだ真琴。講義の後ちょっといいか?」


真琴

「え?何?改まって」


和聖

「とにかく後で話すから」


真琴

「うん…」


🍀🍀🍀🍀🍀

帰り道


真琴

「で?なぁに?」


和聖

「映太から冗談みたいに聞かされてたかもしれないけどさ。俺は真琴のこと忘れたこと無かった」


真琴

「うん。私もそうだよ。ずっと好きだった」



和聖

「俺と改めて付き合って欲しい。」



真琴

「うん。やっと言ってくれた。」


和聖

「え?どういうこと?」



真琴

「私、離れ離れになってもずっと好きだったんだよ。和聖とのこと。でもいつの間にかお互い連絡不精になっちゃって、気持ちのすれ違いを感じてた。」


和聖

「ごめん。」


真琴

「でもこうやって再会できてお互いの気持ちが確かめ合えたんだし私は嬉しいし幸せだよ。」


🍀🍀🍀🍀🍀🍀

ふたりが住む部屋のリビング


真琴

「おはよう。朝ごはんの準備できてるよー」


和聖

「おはよう。ありがとう。同棲するようになってありがたいのはこうやって朝ごはんが起きたらできてる事だなぁ」


真琴

「何言ってるのよ。和聖だって私なんかより全然料理するじゃない。」


和聖

「まぁ確かに。料理はかぁさんに叩き込まれたからな。」


真琴

「あはは。そうだね。さてと、今日はいつものみなとみらいで待ち合わせね」


和聖

「わかったよ。あ、花火が見えるレストランも予約したから楽しみにしてなよ」


真琴

「やったぁーじゃあいつものツリーの前で待ち合わせね。」


和聖

「うーん…俺昼間は仕事だし、今日夜は雪降る天気予報だぞ?お店の方が暖かいしオーナーに伝えておくからお店で待ってろよ」


真琴

「わかったー」


🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀

産婦人科病院




医者

「おめでとうございます。ご懐妊で、3ヶ月です。」


真琴

「あ、ありがとうございます。」


医者

「これから我々がサポートしていきますので、元気なお子さん産んでくださいね。次の予定入れましょうか。」


真琴

「はい。次は父親になる人と一緒に伺います。」


医者

「そうですね。パートナーの方とのコミュニケーションも大切になってきますから。」


真琴

「はい!」


医者

「お名前もご相談して決めてくださいね。」


真琴

「あ、名前は男の子でも女の子でも決めてあるんです。彼には今日待ち合わせしているのでその時に伝えようと思ってます」


🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀

和聖と映太の職場



映太

「おい、真琴ちゃんとの待ち合わせあと数時間後だろ?仕事終わったんならもう行けよ。

ちゃんと予約したのか?」


和聖

「おー抜かりないぜ。」


映太

「和聖は、たまに抜けてるとこあるからな」


映太

「あれは?もう取りに行ったのか?」


和聖

「待ち合わせの前に店寄っていくわ。」


映太

「真琴ちゃん絶対喜ぶぜ。サプライズ成功するといいな」


和聖

「おう。色々手伝ってくれてありがとう。よし今日は午前中に仕事終わらせたし。後よろしくな。」


映太

「了解。後はこっちで引き継いどくよ。気を付けて行けよなーってお

い、手帳忘れてるぞ」


和聖

「お、わりぃ。この中に大切な書類入れてるんだった。あっぶねぇ。よし写真も入ってるな…」


🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀

お店から出た商店街通り


カランカラン


和聖

「じゃあありがとうございました。」


クリスマス・ソング


ポケベルの通知


和聖

「ん?真琴からだ。なになに?報告があります?夜楽しみにしててね。か。


さてと、結婚指輪も準備できたし急がないと。

やっべぇ時間ないぞ。」


キーっ


和聖

「ん?あの車危ないなぁ…あれ?おい…おいおいおい…危ない!!」


きぃーーーがしゃん


ガヤ

「きゃーー」


ガヤ

「おい!子供が倒れてるぞ!」


ガヤ

「誰かー救急車!」



ピーポーピーポー


🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀

レストラン



店員

「いらっしゃいませ楠木様お待ちしておりました。いつものお席御用しております。そうそう。夏にはご婚約パーティに当店をご利用頂きましてありがとうございました。」


真琴

「こんばんは。こちらこそありがとう。とっても楽しかったわ。あれ?まだ和聖来てません?」


店員

「はい。先程ご連絡ありまして少し遅れるとのことでしたがそれにしても少し遅おございますね。」


真琴

「実はね。今日は和聖にサプライズの知らせがあるの。」



店員

「それはそれはどんなサプライズでしょ」


真琴

「これ!」


店員

「おや?母子手帳。それはそれはおめでとうございます。」


真琴

「うふふ。これを見せて驚かせようと思って。」


ピーポーピーポー(遠くで聴こえる)


店員

「とてもお喜びになられると思いますよ。」



真琴

「でしょ?和聖は子供が大好きだから。それにしても遅いわね?仕事のトラブルかしら?彼のことだから必ず連絡くれるはずなんだけど。」


お店のドアの開く音



映太

「はぁ…はぁ…こんばんは。真琴ちゃんいますか?」


店員

「坂本様お久しぶりですね。楠木様でしたらお待ち合わせでお席にいらっしゃいますよ。お呼びしますか?

暫くお待ちくださいませ。」


映太

「ごめん。緊急事態だから!」


店員

「楠木様。坂本様がいらっしゃってますがいかが致しましょうか?」


真琴

「え?映太くん?なんだろう?」


映太

「あ、、真琴ちゃん。落ち着いて聞いてくれ。今警察から連絡があって和聖が事故にあったって」


真琴

「え?どういうこと?何冗談言って?変な事言うのやめてよ。

縁起でもない。今彼はどこ?」


映太

「病院に運ばれたって。おじさんとおばさんのとこにも連絡はいってるみたいだけど2人とも九州に住んでるしご婚約者の方に

とにかく今すぐ横浜病院に来てくれって。」


真琴

「……」


店員

「今お話は聞かせて頂きました。大変なことに。すぐにタクシーお呼びします。」


店員

「楠木様?大丈夫ですか?」


真琴

「……イヤッイヤ イヤー!!!」


バタっ(真琴倒れる)


映太

「真琴ちゃん!!おい!真琴ちゃん!」


🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀

総合病院病室


ピーポーピーポー(遠くで聴こえる)


ピッピッピッピッ(心電図)


真琴

「こ…ここは?」


医者

「病院ですよ。」


真琴

「私の赤ちゃん!!」


医者

「大丈夫ですよ。赤ちゃんは元気ですよ。」


真琴

「病院?はっ!和聖?和聖はどこ?」


医者

「落ち着いて。真琴さん。隣の部屋に…」



真琴

「今すぐ会いたい!!会わせて下さい。赤ちゃんのことを伝えなくっちゃ」


医者

「あーまだ点滴を外してはダメですよ」


ガラガラ(病室移動ドアを開ける)


真琴 ナレ


私が隣の部屋に入ると映太くんが和聖のそばで立ち尽くしていた。

和聖の顔には白い布が掛かっていた。


映太

「あ、真琴ちゃん大丈夫なのか?」



真琴

「和聖?」


真琴 ナレ


私はこの状況を理解出来ずにいた。

フラフラしながらそっと近づき白い布を外した。


映太

「どうやら逆走してしまった車が子供たちの列に突っ込んできて、

そこにいあわせた和聖が動けなくなっていた子供を身をていして守ったそうだよ…」


真琴

「和聖?何してるの?花火終わっちゃうよ?私からサプライズあるんだよ。ほら見て。私たちの赤ちゃん。おめでただって。和聖早く子供欲しいって言ってたよね?ねぇ寝てないで起きてよ…ねぇ…」


映太

「真琴ちゃん…」


真琴

「ねぇ映太くんからも言ってよ。寝てないで起きろって。

ねぇーーーっ」


映太

「真琴ちゃん…落ち着いて。座って。

カメラと指輪が近くに落ちていたらしくて、カメラ、メッセージカードと指輪は預かっておいた。」


真琴ナレ

メッセージカードにはこう書いてあった。


和聖(文書を読む)


『真琴へ


こんなこと、文章で書くのは照れくさいけど言葉にするのはもっと照れくさいから。



俺と結婚してください。

一生幸せにするしずっと傍にいます。

和聖』


真琴

「和聖…かずあき……かず……あき…」


Fin

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ロスト・クリスマス かてぃ @LieereKaty

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