第8話 世界
今朝のニュースが流れる。私の長年住むこの星からそう遠くない区域にある太陽エネルギーの人工プラントになんらかの異常が発見されたとか。私はサラダをムシャムシャと食べながら、それを聞いた。
窓からは爽やかな空気が部屋いっぱいに入ってきた。隣室から物音がする。目覚めたジウにティーポットとカップを持って私は立ち上がる。
おはよう。お茶、ここに置くよ。
それ以上は何も言わず、私は寝室を出る。必要以上にコミュニケーションをしない。それが秘訣だと、妻との関係で学んだ。それはジウにとっても同様。愛し合うことはあっても、他人行儀でいた方がよいのだ。私も歳をとった。そう感じるのは、観葉植物に霧吹きのポンプを何度も握らなくなってから。
時間や金に糸目をつけず、ただただ居心地だけを優先するようになった。道徳心などもとより私は身につけていない。優しさやぬくもりが適度に享受できればいい。あり得ない罪悪感に悩むくらいなら、また新しいパートナーを探せばよい。無限の世界。世界は広くなりすぎた。
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