母娘 (おやこ)
わたしの垂れた頬よりもはるかに新鮮に娘のかおをしているちいさな孫
唾液にしなびた親指を引き抜く幼いその姉の腕にかかる、娘のものだった数珠
流れる血液の濃さならばわたしがきっといちばんなのよ
心に仕舞って 車椅子の義母と共に後ろに下がる
鈍色の光沢 溶け往く坊主の経
数日前に枯れたわたしの喉
話の通じなくなった義母
この人は台所に住む 今はおむつを嫌がりながらベッドに住む
厳しい義母からまもるために娘は自由にさせた
もう少し重しを乗せていたら
こんなにもはやく逝かなかっただろうか
守ったのはわたしの心だけであったのだと わたし 本当は……
震えた娘の旦那に泣けないわたしは もう駄目なのかもしれない
と、目を閉じたときだった
ありがとうねぇ
脇腹あたりの高さから聞こえた呻き声
それと同時 部屋の中から 本能的に泣き崩れた幼い孫たちの悲鳴が葬儀場を迸った
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