Part3: 2人っきりの保健室で。

「……あ、起きた」


「キミ体の方は大丈夫? いきなり倒れて……って、待って!」


「まだダメだよ……。え? なんで保健室にいるのかって?」


「もぉ……覚えてないの? キミは体育の授業中に、気を失って運ばれたんだよ」


「授業中に、倒れた生徒がいるって聞いて、急いで保健室に来たら……」


「……本当にびっくりしたんだから……」


「だって、普段から体を鍛えてるキミが保健室に運ばれるだなんて、そう言うイメージじゃないし……」


「ちゃんと限界が来る前に休んだり、水分補給とかしたの?」


「……はぁ、全く」


「熱中しすぎて忘れてましたって、子供じゃないんだから……」


「って、言ってる側からまだ頭痛いでしょ? 水分しっかり取らないと治らないからね? ……ほら、これ飲んで?」


「……え、手に力が入らないから飲ませてほしい?」


「今はふざける場面じゃないでしょ。ほらしっかり握って」


「……って、本当に力入らないの?」


「……本当に、本当なの?」


「……」


「そっか。じゃあちょっと待ってて」


「カーテンをこうして……え、なんでカーテンを閉めるのかって? ふふっ、だって……」


「こうしないとキミと私の関係、ばれちゃうよ?」


「あはは、いきなり耳元で囁かれてびっくりしたでしょ?」


「……ていうか、キミさ。この前も思ったけど体、敏感すぎじゃない?」


「こーんなに小さく囁いてるだけなのに、体もぞもぞさせちゃったり……」


「それに、こうやってわき腹をツンってされただけで…… ふふっ♪ かわいい♪ こんなに身をよじらせちゃって……」


「ね、このままキミの体を触り続けたら、どうなっちゃうの?」


「……いや、そう言えば、今キミは体に力が入らないんだっけ?」


「そっかぁ。へぇー。そうなんだぁ~」


「ふふっ。じゃああれだね、今は私の方がキミよりも強いってことだね」


「へー、ふ~ん」


「いいんだ? そんな口の利き方で?」


「仮にも私とキミは先生と生徒であって」


「それに、今は私の方が強いのに、そんなこと言っちゃって大丈夫なのかな?」


「……」


「……ふふふっ♪」


「はーい、よく言えました。素直にごめんなさいできたキミには、『文ちゃんポイント1点』を贈呈しちゃいます♪」


「んー……でもせっかくだし……ついでに、この前の分もやり返しちゃおうかな?」


「やめてください……って、え〜それはちょっとできないお願いかなぁ〜。だって……」


「キミばかり、私の恥ずかしい顔見て、ずるいじゃん」


「あはは。だから、今日はい〜っぱい、キミの恥ずかしがる姿、見せてね?」


「っと、その前に……はい、口開けて? ううん、そうじゃなくて、アーンだよ、アーン」


「ほら、ゆっくり一口ずつね」


「……どう? 美味しい?」


「ふふっ。よかった」


「それじゃあ、私もベッドに……よいしょっと」


「え? なんでベッドに座るのかって? えーだって……」


「こうした方が、イケナイことしてる感じがして、いいでしょ?」


「それにー、キミの体力もちょっとは回復したことだし? 今、水分をしっかり取ったわけだから、もう倒れたりしないよね?」


「……ううん。キミが好きなように言うなら……」


「私がこうしてる間は、倒れちゃダメだよ?」


「ほーら、ちゃんと仰向けに寝て? ふふっ、そうしたら……」


「ね、私の手の温かさ、伝わってる? 私は、キミの心臓の鼓動、感じてるよ」


「とくとく、とくとくって。 もしかして、ちょっと緊張とか、しちゃってる?」


「……ふふふっ♪ じゃあ、手、ゆっくり動かすね?」


「こうやって、円を描くように……」


「さわさわ……さわさわ……」


「左胸だけじゃなくて、右も」


「さわさわ……さわさわ……」


「ふふっ。ね、これ気持ちいいの?」


「……ふふっ。そっか。じゃあ、次は……キミのお腹を、さすさす」


「大きく円を描くように……さすさす♪」


「……やっぱりキミのお腹、硬いね。ちゃんと鍛えてるのわかるよ」


「キミって、もしかして筋トレが趣味だったりするの?」


「……え? 私を守るために?」


「……っ。もう、本当にぶれないんだから……」


「こんな状態にもかかわらず、そうやって私をからかうキミには、罰を与えます」


「キミの弱いところ……脇腹をツンツンって、しちゃいます」


「でも、今回はいつもみたいに片方ずつじゃなくて……っと、その前に靴を脱いで……よいしょ」


「ん? ふふっ♪ だって、こうやってキミのお腹にまたがらないと、同時にツンツンできないじゃん♪」


「ほら、ダメだよ? 抵抗しちゃダメ」


「……そうだよ。キミは熱中症の倦怠感と、ちょっとの期待感に身を任せて、だらんってしてればいいんだよ?」


「ふふっ。なんかキミを上から見るのって、新鮮だね。私よりもキミの方が身長高いから、いつもはキミに見下ろされるけど……」


「ね、キミはどんな気分? ちょっとドキってしちゃってる?」


「……ふふふっ。そっかぁ♪  それじゃ、行くよ?」


「ちゃんと声、抑えてね? ……あ、でも、可愛いキミの表情はいっぱい見せてね?」


「ほーら……」


「つんつん……つんつん……」


「両脇同時に、つんつん、つんつん♪」


「あはは。可愛い♪ 体、びくびくって」


「ね、くすぐったいの? それとも気持ちいいの?」


「ちゃんと、言ってみて?」


「……」


「ふふふっ。へぇー、そうなんだ、じゃあ、もっとしてあげよっか♪」


「そうしたら、次は……って、あれ、なんかスマホが鳴って……」


「……ん? 教頭先生……あっ! 忘れてたぁ!」


「今日の放課後は職員会議だったぁ! 急いで靴を履いて……」


「ごめん! ちょっと会議行っていくるね!」


「あ、でもその前に……キミの頭を、なでなで」


「ふふっ。それじゃ、会議が終わったらキミのこと、家まで送るから」


「ちゃんと、いい子で待ってるんだよ?」


「ふふっ。それじゃ、また、後でね♪」

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