第37話 daze②



「死にさらせやぁ!!!!」




大振りでバットが振り下ろされる。

済んでのところでっ……何とか回避………!!



「危ない………! 当たったらどうすんの!!」


「馬鹿か、お前は!!! 当てるためにぶん回しているんだよ!!!!!」


「そんなっ………無茶苦茶だ……!!!」


俺の身体能力的にそこまで攻撃を躱せるわけじゃない。

というか、さっきの攻撃は完全にまぐれで避けれた。


恐らく、次はない。


いうが早く蒼汰は横回しにバットを薙ぎ払い、距離を詰めてくる。


「ちょこまかと動き回んじゃねぇ……ぞ!!!!!」


「う………!!」


ボグッという鈍い音。

それと同時にわき腹に鋭い痛みがはしる。

クソが………!

めちゃくちゃいてぇ…………!!


でも。


――――――これはだ。


今後の俺の身の振り方すべてを左右するといっても過言ではない。



とは言え、限界。

もう無理。

こんなの何回も耐えられない。




「こんなもんでっ……、いいか…………!!」


「あぁ? お前何言ってんだ? これからが面白くなるのによぉ!!!!」



「…………成立」




「はぁ? ……お前、マジで何言ってんのか意味わかんねーよ!!」


そう言いながら、今日一番の振りかぶりを見せる蒼汰。

俺の脳天を勝ち割るためだけの一撃。

完全に決めに来ている。


これで終わらせる気だ。






――――突然だが。

俺はあまり喧嘩には自信がない。

というか、マジで無理。

勝てない。

腕っぷしに自信がないどころか非力。

この前も女子にボコボコにされる始末。

喧嘩自慢で売っているのは阿久津の方だ。



そんな俺が。

敵さんの本拠地に乗り込む際に、手荒なことになるのを想像できないだろうか。

答えはNO。

陽菜には蒼汰とかいう存在が見え隠れしていた。

しかも話に聞くと工業の裏番。

真っ向から俺をボコりに来るのは容易に想像できる。

しかし、俺は絶対に勝てない。

前述したように、勝てない。

俺、喧嘩弱い。



………では、どうするかって?





答えは簡単。


















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