第21話 絶対可憐雅ちゃん
「まじでさ~、ほんとウケるわw」
「あいつクソ下手くそでさぁ、めちゃ笑ったよね」
へぇ……。
下手だったんだぁ。
どんくらい下手だったんだろう。
そっちが気になるけど、ウチはウチの仕事をしないと。
この子達が学校を出たところから尾行を始めた。
とりあえず1日目だから期待こそしていないけど。
塚原陽菜と仲が良い3人組。
と聞いていたが、本人がいないところでも行動を共にしているのは意外だった。
こういうときって中心となる人物と仲が良いだけであって、他のメンバーは別に仲が良くない、というパターンが多い。
「何かメリットがあるのかな……?」
女の構築する関係性は打算的だと思っているから、何かあるのかもしれない。
3人組のうち、左から原田杏。
空手女でめちゃくちゃ強い武闘派とは聞いていたけど、綺麗にきりそろえられたショートカットの髪にモデルみたいな長身。
とてもじゃないけど、女を捨てて部活してます!という感じには見えない。
ただ、間違いなく肉食系だとは思うから、疑うとしたらそこかなぁ。
真ん中の女の子は真壁愛美。
全然関係ないけど、自分の子供の名前に『美』という文字を入れるのはかなりの覚悟だと思う。
どうでもいい話でした。
ボブくらいの茶髪にゆるふわに着崩した制服。
先ほどから様子を見ているけど、言動がアホっぽい。
計算で行う養殖女子もいるけど、この子はきっと天然だ。
塚原陽菜に陶酔しているみたいだけど、猥談で盛り上がれるならレズではない。
聞いている限り相手は男。
依存性が強そう…………。
右は道枝楓。
派手なメイクに金髪して武装しているウチと同じギャル。
でも、ギャルの内面っていたってシンプルなんだよねぇ…………。
あれはは、言わば武装。
ギャルの内面ってとても繊細。そして、多分処女。
ほんとに自分という存在を表現したくてメイクしている子もいるけど、この子は違う。
何て言うか……無理してる。
ギャルのカンね。
原田ちゃんと真壁ちゃんに無理して付き合っているんじゃないのかなぁ。
ポキポキ
LINEだ。
『雅ー』
お、佐々木。
『2週間後を目途に決行したい』
『おっけー、12月中頃っ!!』
『早い?』
『おけ、まかせとけ』
2週間後。
まぁ、多分大丈夫。
3人の後をついていくと、駅前通りを抜け駅裏の繁華街の方へ。
これもう絶対クラブだわ。
ここら辺で高校生が行ってもバレなさそうな店……。
『HEAVEN』とか『Caesar』とかかなぁ。
『love&love』とかもありえるな。ウチ嫌いだけど。
「おっ」
この方角は。
「『HEAVEN』か……」
吸い込まれるように中に入っていく3人。
看板には『HEAVEN』。
未成年は入れない店だねー。
無音カメラで数枚。
佐々木に連絡連絡。
『3人、クラブに入ったー』
写真も送る。
『あざす。完璧。さすがみやびん』
んだそれ。
一度も言ったことねーだろ、そんなん。
アホだなぁ、と思いながらスマホをしまう。
さてと、潜入開始といきましょう!
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