僕が住み着いた屋敷に居る座敷童は、不幸を呼び寄せるみたいです。

シロクラ

第1話 始まり

 蝉の声が鬱陶しいくらいに鳴り響く山奥で、当てもなくただ歩き続けていた少年の前に、今にも崩れそうなボロ屋敷が、道を遮るように聳え立っていた。


「こんにちは、こんな所に人が来るなんて驚いたな~」


 庭は荒れ果て、畑には雑草が生い茂っている。

 そんな屋敷の入口の階段に座るようにして和装に身を包んだ髪の短い女の子がどこからともなく現れる。

 いきなり現れた女の子にビクッと体を跳ねさせ驚くと、女の子は無邪気に笑いながら自己紹介をしてきた。


「ごめんごめん、そんなに怒るなよ...おっ!!その目は私が誰なのか知りたいって顔だな!いいだろう教えてやる、私はこの屋敷に住んでる座敷童だ!!」


『??』


 自分を座敷童だと名乗る女の子に少年は首を傾げ、何を言っているか分らないという風に女の子を見つめる。


「おい!!そんな目で私を見るなよ!座敷童ってのも本当なんだからな!!!」


 少年は何かに納得したようにポンっと手を叩いた。


「何をしてるんだ?お前は...そんなことより、お前なんて名前なんだ?」


 ブルブルと首をふる少年を見て座敷童はある仮説が頭を過った。


「お前もしかして名前がないのか?」


『コクン』


 自分の仮説が当たっていた事に小さくガッツポーズをして喜びを露わにする。


『??』


 少年の何をしてるんだという視線に気づいた少女は、ゴホンと一拍おいて言葉を続ける。


「まあ、なんだ行く当て無いならここに泊っていくか?」


『?!?!』


 座敷童の提案に目をキラキラと輝かせ、泊めてくれ、と言わんばかりに首を勢いよく縦に振る。


「にしてもお前本当に喋らないよな」


 先ほどからの少年の行動に疑問を抱いていた座敷童は、少年に何故喋らないのかを着てみるが、頭の上にはてなを浮かべながら、『喋ってるだろ』と訴えかけるように座敷童のことを見ていた。


「まあいいや、お前にもいろんな事情があるってことだよな。ボロボロで悪いが気が済むまでくつろいで行ってくれ。久々の客人だからな、私は何日居てくれても構わん!!」


 少年は座敷童の手を両手で握りブンブンと激しく振り燥ぎだしていた。


「ちょっ、お前嬉しいのは分かったから落ち着けって...」


 こうして二人の不思議な同居生活が始まった。




 















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