◆葉桜の/アーチの下で/絡む指/桜また咲く/未来予約済み

葉桜の

アーチの下で

絡む指

桜また咲く

未来あす 予約済み




________________


「……来れたっ!」

「ここは?」

「あのね、上川君。ここ、隠れ桜名所なんだよっ」

「そうなんだ……それは一緒に見たかったなぁ」

「え?」

「いや、だってさ。折角こうして一緒にリハビリしているわけじゃん? どうせなら一緒に見れたら嬉しいなぁ、って」

「う、うん……」

「あ、イヤだった?」

「い、イヤじゃないよ! う、嬉しい……あ、あの上川君!」

「ん?」

「約束しよう。来年、絶対来ようっ!」

「ん。良いよ。指切りだね」

「うん」




 葉が揺れる。

 木漏れ日が差し込んで。

 指と指が絡んだ。

 影がゆらゆらと揺れて。




 風が凪ぐ。






※作者注

タイトル◆マークは、本編でも短編集でも掲載していない、短歌を元に書き殴った書き下ろしSSです。

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