二話目 姫様は今日もマイペース
姫「のぅ、爺や」
爺「なんでしょう、姫様」
姫「暇じゃ、何かおもしろいことはないかの」
爺「書等如何でしょうか、教養を深める事もまた愉快な事かと存じますが」
姫「爺が部屋に隠しておる、春画本で焼き芋でもしようかの。確か、掛け軸の裏に…」
影長「姫、爺やの秘蔵の春画本お持ちいたしました」
爺「仕事が早い!」
姫「庭で燃やそう☆、きっと良く燃えるぞ」
影長「そう仰ると思いまして、既に料理長より紅芋を頂いております」
びっと、親指を庭に向けると既に落ち葉と焼き芋がスタンバイされている。
爺「仕事が超早い!!、影長殿貴様に慈悲の心はないのか」
影長「ふっ、家老殿」
ニヒルな笑みを浮かべ、影長が仁王立ち。
無駄にカッコいい男が、こうのたまった。
影長「主張なく!、忙しなく!、容赦無しっ!!。されど、主に命じられた結果有りそれが影にござりまする」
爺「無駄に有能!なんでこんな凄腕がこんな貧乏城に就職してんの!」
姫「ちょっと、行きつけのお稲荷さんに凄腕頂戴って切り餅置いたらこれが来た」
姫が影長とハイタッチを決める、但し影長は姫の身長に合わせて膝をついてだが。
爺「それ、思いっきり闇稼業の人じゃないですか」
姫「影長、そろそろショータイムしよ♪」
指を顎にあてて、可愛くポーズをとりながら姫が言った。
影長「か~しこまりぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!(超巻舌風)」
姫「~♪~♪~♪もえろーよ、もえろ~。爺の春画~」
爺「姫が歌う歌では、ございませぬぞ!」
影長「特別甘いお芋を、ご用意させました!」
姫「苦しゅうない!」
影長「家老殿の苦悶の表情で、より甘露な甘さに仕上がると思います」
姫「それは、笑いすぎてちょっと苦しいぞよ!」
影長「はい、それではレッツゴ!!」
影「姫、火矢の準備が出来ました!」
爺「待って!、待つのじゃ!!」
姫がパンパンと二回手を打ち、火矢が放たれ火柱が上がる。
姫「たまやー☆」
影&影長「たまやー♪」
爺「貴様ら、慈愛の心は無いのか!」
姫「わらわは、楽しい」
影長「主のご命令です故(キリ」
姫&影長「「ね~☆彡」」
爺「あぁ、ワシがコツコツ溜めてようやく買う事が出来たというのに…」
姫「あっそうだ、これも一緒に燃やせばもっと楽しくなるかも」
影長「姫、それはなんでございましょうか」
姫「爺の今月の給料もらうための割符、これがないと爺は今月タダ働き」
爺「んなぁ!!」
姫「はい、影長レッツゴ」
影長「かしこまりぃぃぃぃぃぃぃぃ!!(巻舌風に喜色を浮かべて)」
爺が、生涯最速の動きで阻止しようと鬼気迫る表情で奪い取ろうと動く。
影長「姫様、御免。」
割符をもったままの姫を、お姫様抱っこで素早く優しく回収した影長が爺より早く消えるように飛ぶ。
姫「影長みごとじゃ!」
影長「この影長がいる限り、姫様には蚊一匹触らせはさせませぬ」
姫「それでは、はいレッツゴ」
ひらりと、炎の中に消える割符。崩れ落ちる爺の横で並んだ影と影長と順番にハイタッチを決める姫。
※全員、ハイタッチの為に影一同が膝をついて構える。
爺「姫様は鬼ですか!」
姫「ん?わらわは鬼では無いぞ」
すっと、胸元から一枚の紙を取り出す。
姫「爺のそんな顔が見たくて、越後屋に作らせた偽物に決まっとろう」
あー楽しかったと笑って返す姫、歯ぎしりしながら睨む爺。
影長「あー、家老殿。もうそろそろ、夕刻でございますれば」
爺「なんじゃい!」
姫「割符の交換期限が、今日の日が落ちるまでだったはずじゃ」
素早く紙の裏を確認する爺、顔が土色になっていく。
爺「影長、ワシをはこべぃ!」
途端に体をくねくねさせながら、姫がさっきやったように顎の下に指を当てるポーズを影長がした。
影長「拙者、男はちょっと…」
姫「爺は、影を駕籠屋(かごや)と勘違いしておらぬか?」
爺「御免!!」
姫「ん~、今日も楽しかったのじゃ。明日は確か士官を目指すもの達の御前試合じゃったかの」
※その後丁寧に、焼き芋を取り出してみんなで美味しくいただきました。
※そして、爺の秘蔵のコレクションは本物だったとさ。
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