とある姫様と苦労爺
めいき~
一話目 姫様は今日も元気いっぱい
※この作品はイロモノとしてお楽しみくださいm(__)m
姫「じい~じい~」
爺「これ姫様、幾ら暑いからと言ってその様な恰好で。」
姫「これ、昨日こっそり城下にレッツゴして買って来たの~♪」
爺「姫ぇ・・・、供のモノもつけずまたその様な・・・。」
姫「爺のもあるぞよ~、ほれ水をつけるとあら不思議涼しくなった気がするのじゃ。」
爺「騙されておりますぞ!そんな、布一枚で冷える訳が・・・。って何とっ!!」
姫「爺、良く冷えるじゃろ?」
爺「姫様・・・、これは肝しか冷えませぬぞ」
姫「父上に対する文句や陳情が、これでもかと染め上げられておる」
しかも、一枚二文じゃぞ。安かろう?とどや顔で爺の方を見る。
爺は、顔を真っ赤にしながら怒り出す。
爺「許せん!こんなものを売ったのは何処の無礼者じゃ!!」
姫「はい、はーい☆」
爺「姫様・・・、そんな服が捲れるぐらい元気よく手をあげなくとも」
姫「それを作らせたのはわらわじゃ、安くて冷えるグッズがどうしても欲しくてのぉ」
爺「O MA E KA」
姫「この穴が空いている所に、井戸水をしみ込ませれば打ち水をしたように冷えるというわけじゃ。両手が空くし、男女共に首に巻けば簡単に涼がとれるぞよ」
爺「無駄に、機能的ですな!」
姫「しかも、この染めた柄は自在に変える事が出来るとってもお洒落じゃ!」
爺「流石、姫様です!。しかし、なら何故殿の悪口をこれ程までに?」
姫「家臣に無料で配るのに、ただ機能的なもの与えてもわらわが面白くないからじゃ」
爺「はったおしますぞ、姫様」
姫「もの共であえであえ~!」
影「「「「「「何事っ!」」」」」」
姫「この老いぼれが、折角わらわがこのクソ暑い中気を使って与えた涼グッズが気に入らないそうじゃ。百叩きにせい!」
爺「そんな、ご無体なっ!」
影長「そのグッズを、見せて頂いても?」
爺「これじゃ、こんなもの…」
影長「なんの変哲もない、小さな穴が一杯空いた白い手ぬぐいに見えますが…」
爺「何じゃと!、あぁっ、柄がワシの汗で消えておるっ!謀ったな姫様」
姫「いぇ~いぇ~」
両手を万歳してワカメの様に踊る姫に、影と爺があきれ顔で溜息を洩らした。
爺「にしても、姫様…。城下で買って来たのでは?」
姫「これをみよ!、わらわが発案し出入り商人にこっそり作らせた証の証文じゃ」
爺「拝見、これは確かに」
姫「これを、影長お前に与える食すが良い!」
影長「はぁ?これ紙ですよね」
姫「端をちぎって、口に入れてみよ。ただの、菓子じゃ」
(爺が御免と言って、口に含んでみるとほのかに優しい甘さが口に広がり溶けていく)
爺「なんと優しい味、素晴らしいですな」
姫「影長に与えたものを、お前が食すで無いたわけ」
影長「は…はぁ、ありがたく?」
爺「菓子は甘いが、ワシには甘くないのぅ」
影長「命の危険はなさそうですし、我らはこれで」
一瞬で消える、影長と影達。
爺「大儀である!」
姫「全く、影達の仕事を増やしおってからに酷い事をするのぅ」
爺「姫様…、仕事を増やしているのは姫ですぞ」
姫「しらんのぅ、わらわは場内の不埒物を成敗せよと言ったに過ぎん」
爺「長年勤めあげた、拙者を不埒物と!?」
姫「お主、昨日夜回りの時にこっそりと台所で夜食と称して握り飯を喰うておるのをわらわは知っておるぞ」
爺「何故それを!?」
姫「なんじゃ、本当に食しとったのか」
爺「拙者が、誘導されるなどっ!」
姫「何故、わらわがそれを知っとるか折角じゃから教えてやろう爺」
ごくりと喉を鳴らす、家老の爺や。
姫「お前の足元で、わらわも握り飯を食しておったからじゃ!」
(ドヤァ)
爺「姫っ!はしたのぅございますぞ」
姫「はしたなかろうが、生きておったら腹は減るのじゃばか者」
爺「それで怒られるのは、ワシだけではありませぬか!」
料理番「ほほぅ…、そういう事ですか、爺やどのぉ~。最近やけに減りが早いと思っておりましたら」
(輝く笑顔で爺の背後に立つ料理番、油の切れたブリキの様な音を立ててゆっくりと振り向く爺や)
爺「こうなれば、死なばもろともっ!姫様御免!!って居ないでござる」
(目の前には紙が一枚、大きな字でさらばじゃと書かれていた)
料理番「家老どの、今から大八車で買い出しに付き合って頂きますぞ」
(首を掴まれて、大柄な女性の料理番に引きずられていく家老)
爺「おのれぇぇぇぇぇぇぇぇ…!!」(声が廊下に消えていく)
姫「ふぅ・・・、危なかったのぅ」
(しっかり、居なくなったのを確認してから天井から降りてくる)
姫「影長、助かったぞ」
影長「いえいえ、姫様をお守りするのが我らの使命ですので」
姫「良し、わらわのぽけっとマネーから金子を与える」
影長「ははっ!ありがたく!!」
(胸元から、切り餅(小判を紙で包んだもの)を取り出して影長に渡す)
姫「父上には内緒じゃぞ、父上は何かにつけて貧乏しておるからな」
影長「全くですよ、姫様から貰える金子の方が殿からもらう給金より多い位ですし」
姫「わらわが、どこかに輿入れする事になったらついてくるが良い悪い様にせぬ」
こうして、家老が青色吐息で汗だくのつゆだくで料理番の買い出しに付き合わされ。
二の腕が太く凛々しくなり、姫様が図太く生きていく。
この貧乏城に似つかわしくない、凄腕の影を従えた姫様は今日も元気いっぱい。
これが、この城の日常。
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