中学時代
海湖水
あの青へ
「何書こっかなー。」
日が沈んだ夜の街。私は自転車をこぎながら家へと帰っていた。塾帰りだった。
私は普段、作品を作るときは(ネタを作るとき)自転車の上で考えて、家に帰ってからそれを紙に書く。そうやって設定を作っていた。
作る設定はいろんなものがあった。転生ものやSF、歴史系や現代ファンタジーなど、本当にジャンルは問わなかったと思う。
いや、苦手なジャンルもあった。恋愛ものだ。恋愛を一度もしたことがなく、すきな人は推しと答える自分にできたはずがない。それとミステリーみたいなやつも書けなかった。どうしてもトリックなどが思いつかないから、まずまず書くことができないのだ。そう考えると、トリックを作っている人はどうしているのだろう。今でも気になる。
「ああ、この設定にしてみよう。」
大体、1週間に数回は設定が出来上がる。ほとんどは自分が作ったキャラの裏設定や能力の活用方法、新しい能力やその世界の歴史などだが。
帰り道に作った設定は家に帰ってからまとめる。私は自転車の上で設定を作ることがほとんどだった。正直、自転車の上以外でまともな設定を作れる気がしない。
家に着くと、すぐさま自分の部屋へと飛び込む。机の上に筆箱と一枚の紙を用意すると、さっき考えた設定を書き出す。今までにストーリーを考えた作品の数は10個を超えると思う。この10個のうち、ある一つの作品は設定を固めるのに4年以上かかった。正直意味のわからない量の設定だ。
大抵は一回で一枚の紙を使っていた。自転車の上で作ることができる設定の量なんてこんなもんだ(あくまで個人の意見です)。
私は一つの作品の設定を入れたファイルを取り出した。私は作品のプロットなどはファイルで分けていた。作品によってはいくつかのファイルを使用している場合もある。
自分の汚部屋の中ではきれいなほうである椅子に座り、書き出した設定を見ていた。
「なんか、ピンとこないな‥‥」
そう思った私は紙をファイルにしまい込んだ。明日にはいいものが作れると信じて。
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