第28話

強い、この人。


素の身のこなしでは俺はまず勝てない。


だからこそ俺には奇襲しかない訳だが、斬撃はもうない。

相手も種が割れてしまえば警戒すれば終わりだと気づいたようだ。


どうしろってんだよ!


魔法の詠唱はもうきついそんな隙すらない。

攻撃はと言えば『貫通』を入れると自分の防御をできないので使うことが出来ない。


まだ使えるとすればあれか。


だがあれは隙を作るために使いたいところだ。

あれで決めるのは心もとない。


一旦敵と距離をとる。

これが最後になりそうだ。


ヒュン、ヒュン、ヒュン、ヒュン、ヒュン、ヒュン。


軽快な風切り音を鳴らし俺の斬撃5発が相手のもとへ向かう。


それと同時に俺は接近し剣での勝負に持ち込む。


双方譲らぬ剣技だが、先に限界が来たのは俺のようだ。


パキンッ


と音を立て剣が折れる。

こればっかりはどうしようもないな。


武器の性能差はこの短期間ではどうしようもない。


相手は大きく剣を振り上げ俺に切りかかる。


ここだ!


『絶対半径』解除。


言われた通り無駄にはしないぜ、春千。


春千から受け取った銃弾を体の周りに円にして回らせ、相手へと一直線に打つ。


「いい攻撃だ。が、相手が悪かったな。」


剣を使い器用に銃弾を切り落とす。

剣ってそんなこと出来ましたっけ。


そんなことをぼんやり思う俺の頭に大きく振り上げられた剣が迫る…

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