都市とわたし

みやりまや

都市とわたし

「消えたい」と公園にある落書きへ口内炎の薬を塗った


距離感はいただきますで測れるか?湯が沸くまでの静かな僅か


失えば車の中で営みを始めたりとかしちゃったりとか


タクシーで交わす言葉の軽さには無くしたはずの子供がいるよ


堕したての生活だがふれられるこんなにもきもちがいい罪は


足を見て何故か自分の足と知る 与えられてるものなのになぜ


屋上に止まれ標識無いけれどわたしはいつも立ち止まってる


飛び降りる彼が最後に裂く言葉郷土料理の名前のような


アラームが鳴っているからだけれどもわたしは起きて何すればいい


アカウント作っては消しかつてにはそうでなかった出会いもあった


閉じ切った部屋を鋭く切り裂いた昼か夜かの光に利き手


せん妄の祖父が遺した「竜はいる」わたしは未だ少し信じて


自分より先におにぎり飛び降りて破裂音と飛ぶ明太子


例えると濡れているかそうでないかプールサイドとわたしの違い


品川の位置情報が狂うほど手を繋いでも会いたくなるわ


あの子ならMacBookに貼るシールこんなに気泡入らないよね


友情に溺死しているわたしたち偏差値高い練り物になる


レシピには書かないけれどあの夏は体温二人分が必要


知らぬ部屋目覚まし時計塗装欠け 真面目な人、と理由探して


沈まないプールに浮いた期待にはしがみついてるむかしのわたし

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