連歌
小川茴子
果物
果物の籠から一つ手にとって口づけのようにかじる残酷
らいち剥く薄暗がりの指先で犯してごらんと水はささやく
オレンジのように無礼な人でした一度かじれば南米の闇
あの桃に似た顔潰しにくしみは最も弱いところへたまる
ガラス重ねるつぶされる「残す」と告げられたぶどう甘いまま闇
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