24になる頃-泡吹きそうな夜の天地ガエシ-

水田 里(みずた さと)、夕島 夕夜

第1回カクヨム短歌・俳句コンテスト/二十首連作短歌

誰かはエバを歌ううちの兄はアダムっぽくないなぁ

止む美声

意識朧気おぼろげにキリンの様に長い首

平凡その人のは見据える

優しさに惚れた冬の二十はたち遠くの景色には

隠しきれぬ黒爪くろづめ

光る村田が水を弾く釁隙きんげきに生きている花や虫

「たきのみちゆずる」隣の「もみじゐぬ」何者私にはなゐもの

赤缶飲み口にさすティッシュ取っては差しブライアン・アダムスのレコード

私にはZIONこれを越えるものなど有りはしない

でも「I'm Ready」耳音響反射じおんきょうはんしゃの声

カタルシス女の猫背夢か現実かビール片手に涙

春はまつり

凹凸でこぼこのオニオンスープ缶道端に転げし赤いハイヒール夏は衝動

秋はしらべ ベッド上の小机窓の笑い声と咳する患者書き物はいと愉しけり

除夜の幻冬はダイヤ煩悩の消散まほろば神仏の御宿おやど

年始あいつは帰省すると人伝手叔父の嫌いなものは蕃茄ばんか

婆ちゃんは誕生日 八十三 聞けば姉弟きょうだい皆二月 七人ひちにん

天災が降り注ぐ頃兄は十四歳 三月ろうそくとラジカセの無音

スズムシの嗜み錆びた六弦張り替えるヒトのワビサビ

人目を避けて十二月聖夜を照らす路地裏の街灯ライト

街のあかりチャップリンとバカリズム

「プロローグ」とオチ チョビ髭の有無

科学者は笑わない「運命」コップが落ちる ある人の予感は突然の必然

ライターの火ゲソの先炙るふと着火枯れたその身はまだ燃ゆるのか



以上です。お読み頂き有り難うございました(_ _)*☆...

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