第25話厠にいたのは?
夜中にもよおした
急ぎ足で本殿から少し離れた《カワヤ》(今のトイレ)に向かいます。
本殿にも厠はあるのですが、生憎設備が壊れていて、直るまでの間、臨時に作られた外の厠を使うことになったのです。
さて、無事に用を足した
その時、何故だか左側から誰かの視線を感じます。
その場所の上の方には、木製の格子が填められていて、電気が通っていないこの時代、月明かりを使って辺りを照らしておりました。
そこから何とも言えぬ奇妙な視線が、
「……なんなのだ、この視線は?」
訝し気に呟いてみるも、
それでも確かに感じるこの視線を、頭ごなしに否定出来なかった
恐怖に染まっていくかもしれない心を、何とか平常心に保つよう、自分に言い聞かせると同時に、生唾を呑み込みます。
「ここは1つ、不気味な視線を送る者の正体を探る」
そう強気な発言をしかけて、言葉に詰まった
そこで目に入ったのは、向かって右側の目玉が取れかかり、同時に肩まで上げた両手には濃き色の花束を持つ、得体の知れない者が、何も喋らずに厠を覗き込んでいる光景だったのです。
その瞬間、
そして、当の本人はというと、慌てふためきながらこれまた猛スピードで外へと飛び出していきます。
兎に角、廁から出来るだけ遠くに離れたかった
途中、鉈を持って走る
しかし、
だけど、何ら問題はないと判断して、立ち止まることなく、再び廁方面へと歩みを進めます。
彼が向かった先は、廁の裏側。
丁度、
彼は何やらぶつぶつ言いながら、目の前にある藁で出来た1本足の
叩き切られる度に、その藁人形は人間の悲鳴にも似た音を出し、辺りを恐怖に包み込みました。
やがてその
その姿を見た
「これで証拠隠滅が出来たぞ!」
と、さも嬉しそうに呟きました。
そうです。
完璧な形にしたかったのですが、材料が不足した為、片目が飛び出たままになってしまったのでした。
両手に持たせた花は、鳥兜の花。
色が女性に好まれると噂で聞き、持たせることにより、人気が出るかもしれないと思ったようですが、結果はあまり良くなかったようです。
いずれにしても、
お仕舞い☺️
令和4(2022)年4月1日20:32~4月14日21:23作成
令和4(2022)年5月27日~6月15日改稿
Mのお題
令和元(2019)年10月1日
「ドキドキする物語」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます