第7話陣地取り一人称編

「結局……

殷を倒す行為コトって、陣地取りと同じなんだね」


 何を思ったのか、呂尚ロショウがやりきれない顔で口を開く。


 わしはただ黙って聞いておる他なかった。


 何故なら、こやつの言っておる事は本当だからである。


 所詮、誰かが持つ土地を、色々な理由を捏ね繰り回して奪い取るのにすぎない。


「こんな行動の何処が楽しくて、みんなやっているのか、戦で生まれ故郷を失くした僕には分からないよ」

「……そうさな、わしにもそういう奴等の気持ちなど分からぬ」


 わしは溜め息混じりにそう答え

「だからこそ、こんな馬鹿げた時代コトはこれで終わりにしようではないか」

と、染々と且つ力強い口調で、彼の気持ちを鼓舞するような言葉を送った。


「……そうだね、未来でまた始まってしまうかも知れないけど、1度まっさらにしないと、みんなの努力が無駄になる」


 呂尚ロショウは言葉を選んでいるのか、ゆっくりとわしに思いの丈を伝える。


 まるで自分にも言い聞かせるかのようなその態度スガタに、わしは何処か頼もしさを覚えるのであった。


一応、お仕舞い☺️

令和3(2021)3年6月10日6:29~8月14日8:13作成

Mのお題

令和3(2021)年6月9日

「陣地取り」

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