風の色関係の短編集1

淡雪

第1話呂望さんと呂尚さんプロローグ(仮)

 ここは人間が住む世界(以下下界)よりも遥か高い場所にある世界。


 人々はその瞳には映らない世界を、叡智を知る者達が大勢集まる場所として、“仙人界”と呼び、常に憧れと尊敬の眼差しを向けていた。


 仙人界の更にその上には、神々が住む神界があるが、ここへは神のみが住める、或いは仙人界のトップクラス中のトップ、又はその者達に実力を認められている者しか往来が許されていない。


 簡単に言えば、傘下の社長が大企業に出入り出来るようなものだ。


 彼等は遠い空から愛する人間達を優しく見守り、時には厳しい罰を与え、肉体的・精神的に成長を促しているらしい。


 しかしそんなある時代トキ、神秘に満ちた世界に住む人々の考えに、疑問を感じた者が出現する。


「神々が我々に試練ばかりお与えになるのは、そうした恐怖を心に植え付けて、心身共に支配したいと思っているからではないか?」


 そう考えた彼は、ある時から誰にも相談せず、とある計画を企てた。


 そして、あの大きな戦いに終止符が打たれてからから数日後、彼は数人の仲間を連れ立ち、禁断の世界へ足を踏み入れる。


 もしもこの時、誰かがこの計画に気付いて阻止していたら…


 彼はごく普通に再びこの地で生活をしていたのかもしれない。


令和2(2020)年12月29日23:57~12月30日1:40作成



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