第4話君が大好き!

朝5時半。

辺りはまだ暗い。

僕はこの頃毎日、この時間に起きる。

大好きな君に“おはよう”を伝える為に。


君はいつも俯き加減で、何を話しても上の空。


悩み事があるの?

それは、僕じゃ力になれない?

何でもいい、僕に話して聞かせて!

返事は……やっぱりなかった。


朝7時。

僕は学校へ向かう為、自転車に跨がる。

大好きな君が待つあの教室に、誰よりも早く辿り着きたいから。


君は家が近いから、僕よりも先に着くはず。

そして、授業が始まるまでまた考え事。


一体どうすれば笑ってくれる?

前のように何でも話してくれる?


何が君をこんなふうに変えたのか……

僕にはさっぱり、検討がつかない。


だけど、僕は諦めない。

だって、僕は君が大好きだから!

だから、一大決心してみよう。


夕方4時。

夕焼けに染まる体育館。


今まで言えなかった言葉を、僕はゆっくりと大切に……に大切に……伝えた。


「ずっと……ずーっと、味方だよ!」


君は、ただ目を丸くして、僕を見つめているだけだった。


それから、再び朝の8時。


昨日のことで恥ずかしくなった僕は、少し遅れて登校する。


授業開始ギリギリに、君の隣りの席に座る。


そして、ふと何気なく顔を横に向けると、そこには大好きな君の顔。


君がそっと僕に耳打ち。


「昨日は有難う、大好き!」


君の満面の笑みで、僕の気持ちは報われた。


あれから数年。

今も僕は大好きな君に伝え続ける。


「おはよう、今日も味方でいるよ!」


君の笑顔が空一杯に弾けた。


令和3(2021)年1月28日23:25~1月29日0:25作成


Mのお題 令和3(2021)年1月18日

「おはよう」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る