一目惚れ王子は悪役令嬢に掌コロコロされる 〜第一王子は空気が読めない〜
黒猫かりん@「訳あり伯爵様」コミカライズ
第1話 婚約者候補に初対面で倒れられた王子「俺はめっちゃ見惚れてたのに!」
俺はこの国の第一王子、ウォルフ=フォックス=ウォルドロン。
俺の婚約者
俺と彼女は12歳の時に婚約関係になる予定だった。
しかし、婚約話が持ち上がり、俺と対面したお茶会で、彼女はなぜか気を失った。
俺は彼女に見惚れていたというのに。
彼女の吊り目がちの愛らしい顔立ち、サラサラのホワイトブロンドの髪、すみれ色の瞳を見て、『ふーん、結構可愛いじゃないか』とか思っていたのに。
彼女はなんと、俺の顔を見ただけで真っ青になり、その場でひっくり返ったのだ!
「ウォルフ、あなた彼女に何をしたの?」
「声も発してませんが!?」
「あらやだ、レディの前で無言だなんて」
「対面時間3秒です、母上!」
「……そうなの。じゃあ、その……」
「その?」
「あなたの顔が、気絶するほど彼女の好みじゃなかったのね」
母上の気を遣った声に、俺は後ろから殴られたような気持ちになる。
(え!? 母上もみんなも、俺の顔いつも褒めてるじゃん!)
「は、母上! それは私の顔が、彼女にとってブサイクだったと!?」
「え? あら、そんなことは言ってないわよ。でもねえ、女性にはどうしてもこの顔は生理的に無理っていう時があるから」
「言うに事欠いて『生理的』!!」
「子どもの頃ってそういうの、なかなか隠せないのよね〜」
けらけら笑いながら俺を追い込んでくる母上。
俺は認める訳にはいかなかった。
別に、彼女のことが好きとかそんなのではない。
一瞬だけ見た潤んだ瞳も、気絶した後の整った顔立ちも、「えっ、あなたが……?」という一言だけ聞いた鈴の鳴るような声も頭から離れないけれども、別に好きとかそんなのではない。
婚約しないにしても、俺が気絶する程にブサイクだという事実だけは否定しておいてもらわねばならない!
ヴィレッジ侯爵は「娘は体調が悪かったようです!!」とその線を必死に否定しているが、本人に否定してもらわなければ意味がないのだ。
あの可愛い声で、ちゃんと、『ブサイクとは思ってないです、本当は大好きです』と言ってもらわなければ溜飲が下がらない。
(……いや、『大好きです』は流石にないな。彼女が言うとしたら……)
訂正しよう。
『ブサイクとは思っていないです、格好良いです。でも婚約はできません』と言ってもらわなければ溜飲が下がらない!
(…………)
婚約できないのかよ!!!
自分の妄想の中の彼女のセリフに傷ついた俺は、考えることをやめ、直接彼女に詰め寄ることにした。
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第一王子は初対面で大好きになった侯爵令嬢に会いに行くようです。
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