第39話見つけた

存在自体を消された私

この曲を耳にするまで

生きていられるとは

思わなかった


その曲はきっと

誰も興味を示さない曲

誰もが拒否する曲

でも、この曲は確実に

私に命を吹き込んだ


作った人はどんな人?

歌っている人はどんな人?

小さいながらも

確実に一歩ずつ

歩みを進めていく


時に嫌な思いをぶり返し

歩く足を止める私の手を

何も言わず引いてくれた


だからこうして再び歩き出せている


逃げようとしても

その曲はこう言った

“大丈夫、僕がいるよ!”


他人の言葉を

聞き入れない私でも

この曲だけには

心が開ける


だけどある日を境に

明るい未来 《アス》へ

押し上げてくれたあの曲は

いつしか見えない微笑みを抱いて

音もなく姿を消えた


お礼を言えないまま

数年が経ち

ふと思い出したかのように

検索する


彼はそこにいた


あの日私が

誰かに見つけてもらう為に

ニジむ瞳 で

暗闇 《ヤミ》を見つめていたように

彼もまた同じ

秘かに待っていたに違いない


“やっと見つけた

もう手を離さないよ”

次は私が

彼を外へ導く番


共にいこう

あの空へ


再び……


令和4(2022)年11月4日11:45~14:05作成


仙界伝封神演義 宴II  「大丈夫っさ」を聴きながら

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る