第16話隣にいられなくても

 たまにしか会えないのだから、素直に好きと言えば良かったのに……


 貴方に何も言えなかった。


 会うともう一人の私が邪魔をするの。


“言わなくていい……

あの人はいずれ遠い世界に身を置く人だから”


 出会いから半年経つけど、教室で見かける度にドキドキして、“ああ、私は貴方に恋をしてる”と気付く。


 誰かと話している貴方が笑顔でいる度、胸が張り裂けそうで。


「私の方が貴方の秘密を沢山知っているから」

“もっと……もっと、私を見て!!"


 心の奥に隠れている私が、遠くにいる貴方に手を伸ばして叫ぶ。


“友達以上恋人未満は苦しい”と、誰かが言っていたけど……


 本当、自分が変わってしまうのではないかと思う程、こんなに辛かったんだ。


 だけど……私は、それを含めて楽しいことにも気付いている。


“貴方の側にいられる……”


 それが“嬉しい”と感じる幸せ。


 貴方にこれから先好きな人が出来ても、きっとこの想いがあれば、私は生きて行ける自信が出てくる。


 だから、私は片想いをしたまま、告白はしない。


……永遠に。


令和3(2021)年6月4日作成


Mのお題

令和3(2021)年6月4日

「異性の親友に片想い」









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