第11話 俺の凄さ見せつけてやる!
「うぉおおおおおおおおお! やっぱレーザーこええええええ!!」
防壁から出てシュセプ=アンフへと向かっていくが、今度はユウジへレーザーが集中してきた。
弾いてはかわして、転げては走って、跳ねては伏せて。
上下左右にせわしない姿にハラハラするふたりを背に、ユウジは槍とトンファーをかかげ一気に距離をつめていく。
「よっしゃ! レーザーはもう切れたみたいだな。これで思いっきりぶちこめるぜ!!」
「……ねぇ姫島さん。アイツの口、同じように光ってない?」
「ホントね。まさかっ! ユウジ君、逃げなさい!」
「え?」
姫島の声に反応したときには、すでにシュセプ=アンフの口から極太のレーザーが放たれたあとだった。
極光の超重圧に飲まれて奔流のままに遠くの建物にぶつけられる。
その後大爆発が起きて、天高くに雷電をともなう巨大な砂の大噴流が巻き起こった。
ダイナミックな絶望の光景に、姫島もキララもコメント欄も茫然自失となる。
"なんだ今の威力は……?"
"え、うそこんなのしらない"
"一個人にブッパしていいレベルの技じゃねえだろ"
"津川ユウジは無事なのか?"
"いくら装甲硬くてもあれじゃひとたまりもねえだろ!"
"え、まさか死んだ?"
"ヤバいって"
「うそ……そんな……」
「ユウジ、君……?」
叫べない。なにも言えない。
ショックが大きいと感情の大部分が停止してしまうようだ。
そして砂嵐と爆風がおさまったとき、レーザーが当たった場所のえぐれ具合からいかにその火力が規格外かがうかがい知れるようになる。
にもかかわらず。
「……いってぇえ~」
この男は生きていた。
"は?"
"え?"
"うん?"
"むくっと起きたね"
"いや、いってぇえ~じゃないんだが?"
"え、あれで生きてるの?"
"えええええええええええ!?"
「ピンピン、してる」
「え、え、え? ユウジ君、無事なの?」
「あ゛~いって。あぁ、無事っす。めっちゃ痛いっすけど。……おうテメェ!! よくもやってくれたな!! こうなったら俺も必殺技でぶっ飛ばしてやるから覚悟しやがれ!!」
啞然としていたシュセプ=アンフに怒り表明したのち、『ガラティーン・ハンマー』をその手に召喚する。
「さぁ、ド派手にぶっ飛ばしてやる!!」
「グ、ぐがあぁああああああああああ!!」
またしてもレーザー一斉掃射。
しかし臆することなく進むユウジに一歩、また一歩とたじろいでいく。
"よし、行け!!"
"倒せるぞ!!"
"あのデカいハンマーは!?"
「姫島さん!」
「そ、そうね。かたまってる場合じゃない。私たちも援護するの!」
「うぉぉぉおおおおおおおおおおお!!」
天高く跳躍し、ハンマーを上段にかかげた。
まばゆい光の塊は星々に負けず劣らず美しく。
それに見ほれるようにシュセプ=アンフは見上げたまま動かず……。
「でりゃああああああああああああああああああああああ!!」
豪快な音とともに繰り出される必殺の一撃はその身を爆発四散させた。
「ふぅぅ~、いっちょあがりっと!」
「すごい、ほんとに倒しちゃった」
「ユウジ君……アナタはいったい。いいえ、そんなのどうでもいいわ。彼、やったんだわ!!」
"うぉぉおおおおおおおおおおおおおおお!!"
"やった。やりやがった!!"
"こんな強い奴がいたのか"
"最後の技、すっごくかっこよかった"
コメント欄が凄まじい量の文字列で埋め尽くされる。
そのほとんどが彼への称賛だった。
姫島とキララが、彼のもとへ駆け寄る。
「ユウジすごいじゃない! あのバケモノ一撃で吹っ飛ばしちゃうなんて!」
「おめでとうユウジ君。今日のMVPはアナタね」
「いやぁそれほどでも。ハハハハハ。……あ、そうだ。ここのお宝探しましょう。きっとどこかにあるいはずっすから」
「お宝探し?」
「なぁんだ。もうちょっと喜んでもいいのに~」
「いやいや、ダンジョン配信の目玉だぞ。こういうダンジョンにこそそういうのが眠ってるんだろ?」
「すごいわね君。あれだけ動いてまだ体力ありあまってるだなんて」
「へへ、言ったでしょう。俺、そういうのが取り柄みたいなもんだって」
戦闘後ワイワイ話したあと、3人は建物の中へと入ってく。
シュセプ=アンフがいたあの中になにがあるのか。
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