427日目 プレゼントは赤い万年筆とあまのはら
こんばんは、レンズマンです。
親父のために万年筆を買ってきました。
一昨年前、親父は還暦を迎えました。僕は、そのお祝いに万年筆を送ってあげたいと思いつきました。ところが、当時の僕は仕事を辞めるつもりで忙しく、その後もなんだかんだで時間が過ぎ去ってしまい、機会を逃し続けていました。
そこで、最後のありウマパスタを食べた後、大通りを挟んですぐの場所にある文具店に行ってきました。このお店は、文章編集講座で一緒になった方に教えてもらったお店で、万年筆やインクの専門店です。なんという偶然でしょう、僕が大好きなお店の直ぐ近くにあまりにも都合が良いお店がある。しかし、その都合の良さもその日が最後。今日を逃せばまた機会を失ってしまいます。無理を言って、同行者のイートンさんにお付き合いいただきました。
お店は二階建てで、一階に万年筆やインクの商品が並んでいます。専門店なだけあって品数は豊富で、万年筆だけでなくガラスペンも扱っていました。おお、これがガラスペン!なんか文学少女が持ってる奴!予期せぬ遭遇に目を奪われてしまいます。透明なペンってなんだか魔法の道具みたいで、世界観を想像してしまいますね。持ってるだけで、なんだかオチツキのある人になれそうな気がする。ちょっと欲しいな……と思ったけど、絶対使わないので辞めておきました。
さて、本題の万年筆です。ショーケースにずらりと並んだ万年筆はどれも格式高く、気品に溢れていました。無知・無計画でやってきてしまった馬鹿眼鏡、「すごい……」ということしかできません。困っていたら、店員さんの方から声をかけてくれました。
父の還暦祝いで探していること、予算は一万円を超えて欲しくないことをお伝えすると、最新モデルの万年筆を見せてくれました。万年筆はペン先がとても重要で、高価なものは金で出来たものになるのだそう。金の万年筆は書き心地が格別で、その分値段も跳ね上がってしまう。この最新モデルの万年筆はステンレス製でありながら、金の書き心地を再現した商品らしいです。むむ、なんだかわからんけどよさそうな感じ……!
試し書きもさせてもらいました。ペン先は細字と中字があり、今回は「細字 カリカリ」と「中字 ぬらぬら」をお借りしました。カリカリとぬらぬらは、書き心地やインクの滴り方に違いが出ます。前者は細い字を書きながら、紙をひっかくような触感がありました。後者は太めの先で文字を塗りながら書くような感覚です。インクが染みるように出てくるので、とてもお洒落な感じがします。迷いましたが、父の事務仕事を邪魔しないように「細字 カリカリ」の方で用意してもらうことにしました。それにしても、カリカリとかぬらぬらとか、語彙が面白いですよね。
万年筆はインクを吸い上げて文字を記すもの。筆はもちろん、インクも同様に重要です。こちらも陳列棚にずらりと並んでいて、圧巻でした。鉄板の黒や赤も細かく種類違いがあり、「詩」や「情景」、「戦国武将」をイメージした独特な色遣いのインクはこのお店ならではの商品と言えるでしょう。今回は店員さんおすすめの「あまのはら」を貰いました。「あまの原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出いでし月かも」という詩にちなんで、月が昇る夜をイメージして作られた深みのある青のインクです。お洒落過ぎて、その場で声を上げてしまいました。「ひや~、情緒!」 馬鹿眼鏡、ここはインターネットじゃないんだぞ。落ち着きなさい。
会計後、二階がカフェになっている事を教えてもらい、そこの無料券をもらいました。そこでは「トラベラーノート」が売られていて、いくつか見本を見ることができるそうです。美味しいココアを飲みながら、それらを眺めていました。
トラベラーノートとは白紙の日記のようなもので、主に写真を貼り付けたり、空いたスペースに文字を書き加えることでその日の出来事や行った場所の記録を残して楽しむものです。変わり種で言えば、自分たちの住んでいる町について取材した記録や、外食やお弁当の割り箸の袋を並べて、何処で何を食べたのかをひたすら記録しているノートもありました。どれもとてもユニークで、見ていて楽しかったです。
僕の日記も、やっぱり画像付けた方が良いのかな。レイアウト考えるの苦手なんだよな。というか、人の日記って読むの楽しいものですね。この日記も誰が読むねん!と思いながら書いている節がありますが、読む人の気持ちが分かった気がします。
いつかまた、あのトラベラーノート達を見るために、カフェだけ楽しみに行くのもありだな、とも思いました。
買った万年筆をいつ渡そうかと考えましたが、サービスでインクを既に入れてもらったので、早く使ってもらわないといけないことに気が付きました。何でもない日ですが、その日の晩のうちに父にプレゼントすることに。還暦のイメージカラー・レッドの万年筆を父は大いに喜んで、翌日、早速喪中はがきの宛名書きに使っていました。フフ。たまには高いプレゼントもいいものですね。
お店を教えてくれた編集講座の知り合いや、同行してくれたイートンさん、選んでくれた店員さん、みんなのおかげで良いプレゼント選びが出来ました。僕は相変わらず虚弱な馬鹿眼鏡ですが、人に恵まれる縁だけは持っているようです。大事にしていきたいですね。
では、今日はこの辺で。お疲れさまでした。
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