第4話 組織のアジトに殴り込め!
自分の住んでいるマンションの部屋を荒らされて呆然とへたり込んでいた巴だったが、ハッと我に返ると自らの頬を両手でバシバシと叩いて気合いを入れ直した。
(ボーッとしてる場合じゃないわ! こうしている今もフローベルはアイツらにひどい目にあわされているかもしれない。とにかく、警察に通報して、なにか手がかりがないか調べないと)
そうして、警察に電話をかけようとスマホの電源を入れたところで、巴は目を見開いた。
フローベルが巴のスマホに送ってくれたメールで手がかりを得ることになったのである。
『そろそろ組織が僕の居場所を探り当てる頃だ。散々迷惑をかけたね。申し訳ないけど、また僕に協力してほしい。僕の身体にはGPSチップが埋め込まれている。それで組織が僕の居場所を把握しているんだ。それを逆手にとって、僕のいる場所がアジトの場所になるはずだ。もしものことがあったら、この情報を警察に届けてほしい。できれば女性の警官がいいけれど、この際贅沢は言ってられない。頼んだよ』
最後まで女性にこだわるあたり、さすがユニコーン……と感心している場合ではない。
メールを読んだ巴は早速行動に移したのであった。
――場所は変わって、インフィニティ・フェニックスのアジト。
「ふぅ、やっとユニコーンが捕まえられて良かったよ」
「ボスを怒らせたら臓器を売るだけじゃ許されないからな。コンクリ詰めで東京湾に沈められるのも案外冗談じゃないのかもしれん」
組織の下っ端が「お〜怖い」とブルブル震える振りをした、そのとき。
「たのもー!」
「うわぁぁぁ!?」
GPSで突き止めたアジトの扉を蹴り破って、巴が飛び込んできたのだ。
男たちは泡食ったように逃げ惑う。
「侵入者だ! とっ捕まえろ!」
巴が侵入したことを警告するサイレンの音と同時に、黒ずくめの男たちが次々とやってくるが、巴の回し蹴りに牽制されて近寄れない。
「ボスは殺してしまっても構わんと仰せだ」
後ろから幹部らしき男の冷たい声が響く。
許可を得た下っ端たちは、おのおの武器を手に巴を取り囲む。
しかし、そこへ別のサイレンの音が聞こえてくる。巴の通報により、警察が駆けつけたのだ。
「こんな危険なところに単身飛び込むほど、私は無鉄砲じゃないわよ!」
警察に恐れをなした下っ端たちは、幹部が「おい、俺を置いていくな!」と止めるのも聞かず、アジトから逃げ出した。逃げ遅れた幹部は警察に取り押さえられ、逃亡に失敗した下っ端ともどもパトカーに詰め込まれた。
「フローベル、今助けに行くからね!」
警察にあとを任せ、巴はアジトの最奥へと駆け抜けるのであった。
〈続く〉
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