告げようもない逆縁の身

まさか私と思わざりしを

　行く道の先があるとは聞きしかど　まさか私とおもわざりしを

　我が振りを思い出しては恥じ入って　我が振り直す悪役転生

　見上げれば胸いっぱいの青空も　誰かが描いた青かと思う

　手を取られ跪かれるこの先に　白刃のきらめき胸を突く日が

　駆け転び勿忘草の咲く庭で　殺さないでと密かに願う

　小さき手引いてみれば転びつつ　はにかむ顔のかわいきあなた　　　　　

　まだ恋を知らぬあなたに寄り添いて　誰の物でも無いあなたの隣　

　僕の姫甘く蕩けるその言葉　私の物と思わぬ決意

　たくさんの優しさ愛に今気づく　告げようもない逆縁の身

　懐かしの記憶が知りしその味は　胸が苦しく泣くほどうまし

　貴族とは役割だと背を伸ばす　恵を知りし今の我が身を

　通り過ぎ選択肢だと気づかずに君の気持ちに気軽に答え

　シナリオのある人生をなぞらえる　角を曲がりし先の出会いに

　私しか知らぬフラグに紐付けて　あなたの幸せ引き寄せる

　指先に誓ってくれた恋う人の　真に恋するその時を知る

　役目とは演じることと心得て　悪役演じ舞台から降りぬ

　なぞらえてあなたの未来守れたと　シナリオ閉じて歯を食いしばる

　手を取れば知らぬ未来に踏み入れる　先の話は誰ぞ知るらん

　世界は変わって行くわ知らぬ間に　消えた未来を惜しむことなく

　我が足で一度きりだと歩み行く　道も終わりも未知の世界に