第1話 大賢者転生する
「うわぁ、生まれたわ!」
「良くがんばったな!フレア!」
「まずはコイツの紋章を見てみないとな!」
「そうね、あなた」
「「!?」」
「そんな、魔法にも剣にも向かない最弱紋なんて……周りにからかわれないかしら?」
「心配だな、でもこの子が何不自由なく過ごせるようにサポートしていこうな」
――それから6年、転生したアズガンは6歳になり――
「うぅ~ん良く寝た、ふぅ、転生が完了したようだな、ふむ悪くない体だ上手く魔力も循環している」
この体なら俺が目指した別次元へと挑戦できるかもしれない。
「ノア~!ご飯できたわよ~?早く降りてきなさ~い」
「分かったよ母さん今行くよ」
今日の朝ごはんは何なのだろうか、母さんのご飯は絶品なのだ、店に出したら儲けられるレベルだと思う。
そんなことを考えながら下の階へと降りる。
「おはようノア良く眠れた?ご飯もう置いてあるから食べてしまいなさい」
「ありがとう母さん、いただきます」
あぁ、やはり母さんのご飯は絶品だ、いくらでも食べられてしまいそうだ。
「やっと起きてきたな最弱紋、まあお前みたいなのには遅れているのが似合ってるよ」
「こら、バスラ弟に意地悪言わないの」
「ハイハイ、母さん分かったよ」
この嫌味な奴はバスラ、俺の兄に位置する人だ、毎度毎度会うたびにダル絡みしてくるめんどくさい奴だ。
「おいノア、後で庭へ来い、この俺様が直々に剣の指導をしてやる、遅れるなよ、まぁ遅れるかハハハ」
「バスラ、この子はまだ6歳よ?剣はまだ早いと思うわ?」
「大丈夫だって、手加減はするからいいだろ?」
「ちゃんと手加減してあげるのよ?」
「おっ、何やら面白そうな事を話しているなノアに剣を教えるのか?お前が?心配極まりない、どうせお前の事だノアに悪戯をして泣かしたりするんだろう?父さんも付いていってやる、何俺は何も手出ししないから安心しろ」
バスラの顔が若干顔をしかめる、どうやら図星のようだ、まぁどうせそんなことだと思った。だが転生が完了してから初めての剣だ、しっかり体が動くのか試す良い機会じゃないか、やってやろう。
「ほらノア行くぞ」
「行こうかノア、昔は父さん剣の扱いは上手かったんだぞ?お前の剣の才能を見極めてやるからな!ハッハッハッ」
豪快に笑う父、とりあえず行ってみるとしよう。
「おっ、来たな最弱紋、見ろこの神の恩恵を受けし紋章、神紋を!俺のこの神紋の力でお前をぶっ倒してやる、おらよっ剣だ」
「おいバスラ、その最弱紋と言う呼び名は止めろと何度言えば分かるんだ、それと手加減してやれよ?相手はまだまともに剣も握ったことのない子供なんだ」
「分かってるよ父さん、行くぞノア!」
さてやるか、まずはいつもと同じように相手の行動を読み、《自己強化》を使いそれから先程投げ渡された木刀に《刀身強化》を使い身構える。
「おら行くぞ、喰らえっ!」
いかにもモブが言いそうな台詞を放ちながら打ってくる剣は太刀筋はガタガタで隙だらけの明らかに攻撃してくださいと言わんばかりの攻撃方法だ、ん?ちょっと待てよ、もしやこれは罠なのではないだろうか、まあ良いその罠にあえて引っ掛かってやるとしよう、さぁ来いどんな剣でも受けてやる。
『ガキッ』
鍔迫り合いの体制になるがしかし一向にこちらに攻撃してくる様子がない、何なんだこれは罠なんだよな、仕方ない相手が来ないのならこちらから行かせてもらおう。
「えいっ」
剣を打つ瞬間俺は素早く相手の後ろへと周り剣を振り下ろす、だが1つ不可解なことがあるそれはバスラが一向に防御の姿勢を見せないのだ。
――3.56――
ん?目を瞑った?ほうまだそんな余裕があるのか手練れか?
――1.52――
まだバスラは目を瞑ったままだ何なんだ?このままでは俺の剣が当たるぞ?早く受けろ、もう間に合わんぞ?
「やあっ」
『バシィッ』
辺りに俺の剣が命中した音が響き渡る。
「ゴハアッ」
『バタッ』
「なっ、ノアが勝っただと?そんな馬鹿な」
「父さん、あいつは一体何がしたかったんだ?あれは誘い込ませて俺に剣を打つためなのだろう?」
「いや、あれはただノアに斬りかかろうとしていただけだ」
「目を瞑ったのは?」
「あれは恐らく痛みが怖くて目を瞑ったのだと思う」
「そんな……」
おいおい、嘘だろ?この世界では剣術はこんなにも衰退していたのか。
「それよりも、お前は一体何なんだ?剣を持ったこともない筈なのにどうしてあんな動きができるんだ?」
「???何もただ普通に《自己強化》と《刀身強化》を使っていただけなのだが……」
「は?」
辺りに静寂が訪れる。
「それは普通とは言わないんだ!お前はまだ6歳なのに対して16歳のバスラを倒すほどの力を持っているそれとお前なんて言った?魔法を2種類も同時に使うなんて国の騎士団長よりも凄いんじゃないか?」
「なっ」
やはりこの世界は以上だ俺が転生したときよりも剣術は大きく衰退し、それだけでなく魔法も著しく衰退しているようだ。
「父さんとも一度剣を交えてみないか?」
ほう、剣が得意だと豪語していた父さんと剣を交わせられるのかこの世界の上手いを味わおうじゃないか。
「分かったよ、やろう」
「よ~し、そうこなくっちゃな、じゃあ先に相手に剣を当てたほうが勝ちにしよう」
「分かった」
「いざ尋常にファイッ!」
「フンッ!」
ほう、先程の虫ケラとは大きく違い太刀筋真っ直ぐで綺麗だ、受けてみるか。
『ガキッ!ガンッ!』
やはり重い、だが
「遅い」
父の剣を横に薙ぎ、すかさず《自己強化》、《刀身強化》を使い、思い切り剣を振る。
『ゴッ』
脇腹から鈍い音がする。
「ウッ」
「降参だ、やはりお前は普通じゃない、強すぎる、少なくともこの辺りでお前に敵う相手は恐らく居ない」
「おいおい、マジかよ」
なんと言うことだ、大の大人ですらこれなのか一体この世界に何があったと言うんだ。
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