異能力世界の戦争です

白廻凪霧

エピローグ、そしてまた......

今はもう色褪せ、灰色に染まった記憶────。

光すら食らってしまうような真っ暗な場所で、感傷に浸っていた。


失敗。

失敗。

失敗。

─────決して変わらない結果に、絶望する。

狂気にも似た執着で、一縷の望みに賭け、また繰り返そうと......。


あいつさえ、あいつさえいなければ......力をつけなければ───

なぜ生きている、すべてを奪ったのはお前だ...

今回で必ずお前を殺す───確実に


「次こそは......」


かすれた声が虚しく消える。


すべてを終わらせる。

その決意は既に何度したことか。

だが、なおも強く決意を表す様に手を固く握った。そして、それに反するように身体が飽和していった。



何かが抜け落ちる感覚。

大切な何かだ。


だが、そんなことはどうでもいい。

今、優先するのは───。





───曰く。

死ねることは幸福だ。

死ぬという選択肢があるのはとても幸せなことだ。

生きるのは罪だ。

かつて聞いたそんな言葉の意味を理解できた気がする。


意識が揺らぎ、完全に落ちるその直前の僅かな時間に。


嗚呼──頼むから......

変わってくれ.........


それが最後に願ったことだった。

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