幼馴染がどっちも究極のツンデレだったからこんなに月日がたってしまいましたとさ
猫の集会
素直じゃない幼馴染たち
「ユウちゃん、ユウちゃん」
とオレの後を幼い頃からずっとついてきたのは、幼馴染の
その花乃は、いつしかオレの天敵になった。
あれは確か中学の頃だった。
あんなについこの間までユウちゃんユウちゃんとオレの後を追い回していたのに…なのに…
なのに…花乃は、最近オレを見る目が怖い。
というか、もうオレを睨んでいる…。
ヒイッ‼︎
こ、こわっ。
「花乃…睨むなよ」
「はぁ?」
と低い声でオレを威嚇する花乃。
「ハハッ。花乃は、妊娠中のメス猫みたいだな。」
と笑うと、
「じゃあ、優斗は発情期のオス猫だね。ずっとわたしのことつけ回してさ」
と。
…
「いや、オレつけ回してねーし」
「ふんっ、どうだかぁ」
長い髪をふっさぁと手で払う花乃。
うっ…、美しい。
しかし‼︎そんなこと口にするわけにもいかない。
なのでオレは、
「そんなに髪伸ばしてるとハゲるぞ」
と意味のわからない返しをしてその場を去った。
くっそー、髪の毛いい匂いしてたじゃねーかよーっ‼︎
昔は、髪の毛屋さんごっことか言ってよく花乃の髪の毛触ってたよなー。
今触ったら、触んなって手を振り払われること間違いなしだろーなー…。
あー、こんなことになるなら昔のオレもっと触っとけばよかったのにー‼︎
なんてキモい後悔
…
そしてそれから七年後
「おじゃましまぁす」
とかわいい声で母ちゃんに挨拶する花乃。
そしてオレの部屋のドアをコンコンっと優しく叩く。
「はーい」
とオレがこたえるとドアが開き、低い声で
「またゲームばっかりしてさー、ほんっと暇人だよねー」
と早速悪態をついてくる。
いや…いやいや…いや
「暇人は、そっちだろ」
と言ってやった。
だって花乃は、週一でオレの部屋を訪れているのだから。
しかも、オレの休みの日を狙って。
「いや…ほらあたしはあんたが生きてるか生存確認しにきてやってんのっ。彼女もいなくてミイラになってるんじゃないかって心配で心配でさー」
なんて言い出した。
「彼女かー…でも花乃だって彼氏いねーだろーが」
というと
「い・ま・は・いないだけ‼︎い・ま・は‼︎」
と言ってきた。
「い・ま・も‼︎の間違いだろ?」
と返すと、
「はぁ〜⁉︎てか…てかさ…優斗が優斗が悪いんだからね‼︎」
とオレがいきなり悪いやつ扱いされた。
「なんでオレ?」
「なんでもっ‼︎てかさ、優斗今まで好きな人とかいたことないんじゃないの?あー、もしかして人を好きになれない人間さんかな?まず人を好きになりたいなら己を好きになることからはじめなさいなっ!」
なんて偉そうに花乃が言うからムッとしてオレはつい、
「彼女ってか結婚する人決まってっから」
というと花乃は、
「…え?そ、そうな…の?」
といきなりオレの部屋のイスににペタンと座った。
「ああ。」
とオレが返事をすると、
「ふんっ、どうせそこらへんのメス猫でしょうよ。本当なら見せてよ!その結婚する相手をさ」
と腕組みをしながらプンスカしていた。
「じゃあ、これから式場に行く予定だから一緒にこいよ」
とオレは花乃の手を引いて式場へと向かった。
どんどん顔色が青くなる花乃。
「花乃…大丈夫?」
「大丈夫に決まってる‼︎少し乗り物酔いしただけっ!」
と息を荒くしながら返事をしてきた。
…そうか。
会場に着くと花乃は、落ち着きがなくなりつつあった。
とりあえず衣装室に向かう途中
「その人…かわいい?」
と不安そうに聞いてくる花乃。
「うん。すっごく」
「へ、へー………でもわたしの方がきっとドレス似合うに決まってる」
「じゃあ、花乃もドレス着てみなよ」
とすすめてみると、
「いいわよ!着てやろうじゃないの」
とメラメラと闘志を燃やす花乃。
そしてドレスに着替えた花乃。
「どう?よく似合うでしょ」
と誇らしげにエッヘンする花乃。
「あー、すげーきれいだよ」
と言葉をかけると…
ポロポロと涙を流し出した花乃。
「花乃…?」
「あ、この涙は…その……ってか、優斗の結婚する相手ってのは、どこにいるのよ⁉︎」
と急に睨みをきかせてキョロキョロしだした。
「ここにいるよ」
と鏡越しに花乃を見つめた。
「え…?」
「花乃。オレと結婚してください。」
オレは鏡越しにプロポーズをした。
すると花乃は、フッと笑って
「はい!」
と返事をしてくれた。
式場の人たちは、はじめオレのプロポーズを聞いて、
えっ⁈今プロポーズ⁉︎とびっくりしていたがすぐに笑顔になり拍手を送ってくださった。
パチパチパチパチ
拍手のなか、花乃はオレに抱きついた。
「そして、大好きっ」
と。
「オレも大好きだよ」
とこたえた。
やっと…
やっとお互い素直になれた。
それからのオレたちは、イチャイチャしっぱなしだ♡♡
おしまい。
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