Daily #4 機嫌の取り方

 仕事上がりはいつも重たい体を引きずるようにして帰宅するのだが、今日は半日なのでまだ余力が残っている。

 コンビニへ寄ってお酒とチーズを買い込み、足早に歩いた。


 帰宅するとすぐさまお酒を開けた。カクテル系を好むため、コンビニでのチョイスも同系統だ。スモークチーズを口に放り込み、香りと味を愉しむ。ささくれ立った心が幾分か和らいだ気がした。


 理不尽な言いがかりに黙って耐えることは慣れている。

 私も悪いかもしれない、人は良いところもあるから誰も悪くない、環境のせいなのだと。いつもそう思うようにしている。

 だが心のコップの縁を盛り上げることに限界がきているようだ。最近少しずつ自己主張をするようになった。


 ラインの通知音が聞こえて確認すると、私はまだ開けていないお酒を慌てて冷蔵庫へとしまった。

 危ない、一緒に飲もうと思ったのに勢いに任せて全部飲んでしまうところだった。


 好きな音楽をかけてお酒を煽る。すきっ腹で飲んでいるので酔いは早いが、これ以上は酔わないだろう。

 疲れの原因から離れてもそれに囚われていてはせっかくの短い休日がもったいない。


 そうだ、今日は久しぶりにお洒落して出掛けよう。

 お洒落なファッションは武装であり、テンションを上げるアイテムなのだ。


 私は鼻歌を歌いながらクローゼットを開けた。

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