お疲れさんのぐーたらライフ

海月ゆき

Daily #1 帰宅

「ただいまー……」


 我ながら声に力が入っていなくて笑ってしまう。電気を付けて荷物を置き、手を洗い、買った品物をしまう。着替えると洗濯物をネットに分け入れて洗濯機の中にぽいぽい入れていく。


 冷蔵庫を開けてチョコレート菓子をひとつつまむと口の中に放り込んだ。

 ――甘い、と思った。

 咀嚼すると朝の飲みかけのカフェオレを一気に飲み干した。カフェオレとチョコレートがあればしばらく生きていけると私は本気で思っている。


 部屋に入るとぬいぐるみと目が合う。


「飯綱、ただいま。いい子にしてた?」


 私は飯綱いずなと名付けた狐のぬいぐるみの頭を撫でた。約十年以上ぶりに自分で買ったぬいぐるみ。人から貰ったものは何年か前に全部捨ててしまったので、今はこのぬいぐるみだけだ。


「つっかれたー……」


 ベッドの端にごろりと横になった。“彼”が帰ってくるまでまだ時間があるはず。スマホのアラームをかけておこう。スマホはどこに入れたっけ。あ、カバンの中だ。アラームかけておかないと。かけて、おかないと…………



 玄関のドアが閉まる音で目が覚めた。

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