重度の厨二病の俺がダンジョンで美少女配信者を助けたら俺の知らないところで話題になってるそうです。美少女とコラボしたら一瞬でバズって世界トップクラスの配信者になってしまった

にこん

第1話 我ら【XIII黒騎士団】

「ドライツェーン。ドライツェーン」


俺は友達の黒木に話しかけた。


ちなみにドライツェーンというのは黒木の仮の名だ。


「なんだね、ヌル。【ヤツら】か?」


黒木が聞いてきた。


俺は頷いた。


「俺たちの動きに勘づいたようだ」

「なっ、馬鹿な。まさかこんなところまで?」

「あぁ。そのまさかだ」


ヤツら。

俺たち【XIII黒騎士団ブラックナイツ・サーティーン】は次元犯罪者組織【追跡者ザ・チェイサー】に追われている……。


という設定だ。


「くっ。まさかここまで追ってくるとはな。チェイサー共が。ちっ、本当にやっかいなヤツらだ」

「どうするよ?ヌル。【チェイサー】のレムナントは強いんだろ?」

「大丈夫だ。いざとなれば俺の【邪封眼】がある。使用は1度きりだがどんなモンスターだって殺せる魔眼が俺にはある」


そう言って右目の眼帯を捲った。

そこにはカラコンがついた目がある。


「ふっ。お前の【邪封眼】の威力は俺が一番知っているからな。頼りにしてるぜ相棒」


ポン。


俺の肩に手を置いてくる黒木。


そんな俺たちを見て隣を通った男女のカップルがこう呟いていた。


「なにあれ?」

「さぁ?見ない方がいいんじゃないか?」

「【邪封眼】ってwwwぷぷwwwしかも眼帯にwww腕には、ほほほ、包帯www」


そう言って笑って去っていくカップルに向かって俺は口を開く。


「【チェイサー】の恐怖も知らんパンピーどもめ。誰のお陰で今日を平穏に生きているのか分かっていないように思う」

「待てヌル。【チェイサー】の名前を出すな!」

「おっと、すまん。つい、口から出てしまった」


そんな俺たちを見てカップルはそそくさと歩いていった。


俺たちと関わればロクな結末が待ってないと思ったのだろう。


「そうだ。それでいい。お前たちは光の世界を楽しんでいろ。お前らはガソリンの味なんて知らなくていい」


俺はそう言いながら眼帯を戻した。


「日陰者というのは辛いよなドライツェーン」

「まったくだなヌル」


そんな会話をしながら今日も俺たちはダンジョンを進んでいく。


そうしていたら


ダダダダダダダダダ!!!!!!


さっき俺たちの前を通って言ったカップル共が走って帰ってきていた。

ひどい慌てようで俺たちに目を向けてきた。


男の方が口を開いた。


「あっ!さっきのヤバいヤツらだ!お前らも逃げろ!」

「なんだ?」

「この先やべぇモンスターがいた!だから逃げろ!忠告したからな!」


そう言ってくる男の言葉を聞いて笑った。


「くくくく……ふふふ……あーはっはっは」


それを見て男は顔を歪めてこう言った。


「忠告したからな」


タッタッタッ。

走っていく男たちを見送って俺は我が友に目を戻した。


「【チェイサー】の使い魔かもしれない。俺たちのせいで日本が危険になるのは本意では無い。さぁ"ゴミ処理"に行こうじゃないか」

「あぁ!行こう!」


ダッ。

俺は奥に走っていった。


すると


「ブモォォォォォォォォォォォ!!!!」

「なるほど、あれは【チェイサー】の使い魔【青の悪魔】だな」


青の悪魔は俺たちに気づいて。

そして俺に目を向けてきた。


「またの名をミノタウロスだな」


隣の黒木に頷きながら俺は青の悪魔を睨みつけた。


「【チェイサー】のやつらめ。こんなところまで使い魔を寄越しやがって」


俺はそう言いながら青の悪魔と向かい合った。


その時に気付いた。


(奥に人が倒れてる?)


体を抑えて人が壁に寄りかかって座っているのが見える。


「教団のクズ共が。ついに一般人にまで手を出しやがったか。すまない俺のせいだ」


俺はその場に四つん這いになった。


「うわぁあぁぁぁあぁぁ!!!!!俺のせいだぁぁぁぁ」

「おい。嘆くのは後だぞヌル」


そんな俺を慰めてくる黒木に適当に言葉を返しながら青の悪魔を睨む。


そしてスマホを取り出して耳に押し当てると声の限り、女の子に聞こえるように大声で話す。


「俺だ。【邪封眼】の封印を解く。許可を願う」

(その封印を解けば【組織】に刃向かったと見なす)

「組織の決まりが人命よりも大事だと言うのか?これだから議会のジジイ共は困る」

(当然だ。組織の秘密性はなによりも重要だ。我らは世間にはバレてはいけないんだよ)


バキャッ。

スマホを粉砕した。


「そんなクソみたいな決まりに俺は従わん。【邪封眼】を解放するぞ。止めたければ俺を殺してみろよ!議会のジジイ共が!」


【青の悪魔】に目を戻す。

そいつは


「ブモォォォォォォォォォォォ!!!!!」


そう言いながら俺たちに向かって走ってきていた。


それを見て俺は呟き始める。


「裁きを与えよう」


そうして口を開き始めながら。


パーン!


俺は眼帯を叩いた。


ツーっ。


右目から垂れてくる赤い液体。


これはあらかじめ眼帯の内側に、割れやすい袋を仕込んでいたのだ。

袋の中にはケチャップを薄めた水を入れている。


「青の悪魔。お前には恨みは無いが。俺と教団には因縁がある」


ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!


青の悪魔が走ってくる。


それを見つめて俺は。


グイッ!


眼帯を右手で掴んでそのまま上に上げて。


「俺の目を見ろ。青の悪魔。これが悪魔と契約した者の目だ【邪封眼】!」


【加熱魔法】


瞬時に青の悪魔に魔法を使い一気に体内の血液の温度を上げた。

すると


ぱーん!!!!!

内側から青の悪魔は破裂した。


俺は立ち上がりながら言った。


「俺の【邪封眼】に見られるとはな。哀れだな。安らかに眠れ。青の悪魔」


俺は右目からケチャップ水を垂れ流しながら青の悪魔がいた場所を見ながらそう言った。


それから青の悪魔の奥にいた人の近くによった。


それから声をかける。


「エイメン?」

「え、エイメン?」


そう聞き返されて顔に手を当てる。


「すまない。今のは母国の言葉だったな。大丈夫か?」

「は、はい。私は大丈夫ですが」


そう言って俺の目を見てくる女の子。


「あ、あなたこそ。その目は大丈夫なのですか?」

「あぁ。大丈夫だ。問題ない」


そう言いながら俺は女の子の周りをふよふよしている丸い小型のものに目をやった。


「アーティファクトか」

「あ、アーティファクト?」

「気にせんでくれ。俺の話だ」


そう言いながら俺は女の子が怪我をしていることに気付いた。


「そこ、擦り切れてるな」


女の子の腕を指さした。


そうして俺は


回復エフロン


回復魔法を使った。


すーっ。

女の子の傷は治っていた。


「あ、ありがとございます」


そう言ってから女の子は俺の目を見てきた。


「ほ、ほんとに。だ、大丈夫なんですか?それは」

「(ケチャップ液だから)大丈夫だ。それに俺は議会の老いぼれどもに与えれた【呪い】によって回復魔法を受け付けない」


そう言いながら黒木に目をやった時だった。


プルルルルルル。


2代目のスマホに着信。


「ヤー」


電話に出る振りをする。


今のは黒木が鳴らしてくれたものだが。直ぐに通話は切れている。


俺は繋がっていないスマホを耳に当てながら話をするフリをする。


脳内で誰かと会話をしている振りをする。


「今ですか?ダンジョン内にいますが」

(ヌル。お前に新たな仕事が入った)

「はぁ……またですか?疲れたのですが。しばらくの休息を……」

(我ら黒騎士団に休息など与えられん。分かっているだろう?)

「ちっ……それが【ブラックナイツ・サーティーン】の、組織の総意ということか」


舌打ちをして答える。


「​───────了解ヤヴォール


そう言ってから俺はスマホをしまった。


それから女の子に聞かれてもいないのに答える。


「すまない。君を巻き込んでしまうかもしれない」

「え?な、何の話ですか?」

「俺たちの戦いに。だから謝っておく。すまない。でも安心してほしい。君には漆黒の加護があるのだから」


スクッ。

立ち上がって黒木に目をやった。


「おい、行くぞドライツェーン」

「ヤヴォール!」


ビシッ!

敬礼を返してくる黒木を連れて俺はそのまま奥へと向かっていった。


ポカーンと口を開けて俺を見ている女の子を置いて走っていった。



名前:邪封眼

効果:見られた相手は死ぬ

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