夏の山をご存知でしょうか。
そう深い山ではなくて、小さなお社があるくらいの里山です。
頻繁に人が出入りするわけではなく、でもなぜかいつも綺麗に掃き清められていて、たまにお供えもあるような、そんなお社がある里山のお話です。
うるさく蝉が鳴いていて、草いきれがして、湿気と熱気まみれの空気がお社の森に入るとすっと消えてひんやりと涼しくなるような、そんな里山を、僕は思い出しました。
これはそんな山のお社に暮らす狸と狐のお話です。
ごく短いお話なので、内容に触れることは避けましょう。
でも、いくつかの夏を越えた最後のシーン、僕はたしかに夏のお社の森の匂いと、それを運んでくる風を感じました。
そういう短編です。ぜひ、読んでみてください。