第21話  消えてゆく


あの切り取られた日常の一瞬が

私は大好きだった


嘘偽りの無い瞬間を

瞼の裏に焼写しながら

悔しい後ろ姿を目で押して

待ち合わせ場所の雑踏に紛れる


何回も繰り返す強がりは

口にできなかった言葉


降り出した雨に濡れた髪と

振り出しに戻る交わした約束


ぶつかり合う傘々の隙間を

見送りながら

人と人に思い馳せる

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