『生活』

黒塚多聞

あなたには生きてほしいと祈ってる翳した手から光が漏れる

この街の歩き方などまだ知らぬ僕たちはただ生きてたいだけ


永遠はどこにでもある見渡すとこの世界には光あふれる


あなたには生きてほしいと祈ってる翳した手から光が漏れる


手を繋ぎ硝子の海を見ていよう静寂の中漂っている


見渡せば星が広がる夏の夜僕たちきっと異邦人だね


僕たちはいずれ消え去る運命だスピカのように終わりたいんだ


生きるのはシシュポスに似た日々だろう転がる岩に潰されぬよう


君が持つ向日葵の花目映くて光が満ちたような気がした


言葉には言葉で以て報いたいあなたの言葉が僕を生かす


ぼんやりと漂うだけの僕の影あなたの目から涙が落ちた


僕たちは夜空彩る星群になれるだろうかいやわからない


夜の海あなたと歩くゆっくりとあなたは花を海に投じた


人知れず凪のように穏やかな立ち振舞いで歩道を歩く


現在の仕事は慣れた見てごらん空き地が楽園になったんだ


永遠が幻なことに気づいたよ君の瞳をじっと見つめる


夢で見る鯨の群れはどこにいる鯨の歌が微かに響く


僕たちが生きる理由はわからないだけどそれでも探すしかない


できるならあなたと共に死にたいな終わりとは何故あっけないのか


旅に出る支度をしようここはもう去るしかないよ仕方ないんだ


視界から街をそっと消し去った僕らはずっと流されていく

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『生活』 黒塚多聞 @tamonnkuro

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