第28話 推測者リシア
私の名はリシア。
行方不明であるエステンダッシュ領の
境界転移陣を抜けると、クリーム色の髪、グレーの瞳の男性が、後ろに騎士を引き連れて立っていた。身なりからして、この者がエステンダッシュ領
フォルネスは私の顔を見ると、その顔に
「カミュスヤーナ様。ご無事なご様子で
フォルネスの様子に、後ろの騎士も
「いや・・その・・。」
私はその様子を見て、何とも言えずに口ごもる。
「お話は伺っております。ひとまず館に向かいましょう。詳しいことは、そちらに着いてからにしましょう。」
フォルネスは、私を宿直所の隣に止めてある
何か大事があった時に、馬車や徒歩でちんたらと進んではいられない。そのため、
「
「わかりました。」
正直、
2人乗ることを想定していたのか、普通の馬よりも大分大きい天馬だ。
「では、行きますよ。半刻(30分)もあれば着くでしょう。」
フォルネスが、天馬のお腹を軽く蹴ると歩き始め、助走後、羽を使い大きく舞い上がった。
館に着くと、広間に案内された。広間に足を踏み入れると、既に着席していた者たちが一斉にこちらを見る。
扉から一番離れた席に座っているのは、紺色の髪に金色の瞳の青年だ。多分自分よりは若い。身なりからすると、この中では一番身分が上だろう。彼は私の顔を見ると、
その左隣に座っているのは、ラベンダー色の髪、紫の瞳の女性。彼女がテラスティーネだろうか?
残り2つの席が空いている。後ろからついてきたフォルネスに
フォルネスは紺色の髪の青年に礼を取り、口を開く。
「アルスカイン様。カミュスヤーナ様をお連れしました。」
「よろしい。フォルネスも席についてくれ。」
フォルネスが私と女性の間に着席すると、紺色の髪の青年が私を見て口を開く。
「まずは自己紹介を。私はエステンダッシュ領領主のアルスカインと申します。こちらは私の妻のシルフィーユです。そして、貴方を迎えに行ったのが、
アルスカインの言葉を聞いて、青年が領主ということに驚く。隣領ヴァレールの領主に比べてもかなり若い。
これは
挨拶をするために席を立とうとすると、アルスカインによって制された。
「そのままで。ヴァレール領の領主より大まかにですが、話は聞いております。貴方は今リシアと名乗っているのでしたね?」
「ええ。」
「そして、テラスティーネに会うことを望んでいると。」
「そうです。」
「きっと、テラスティーネに会って、直接ここまでに至った経緯を告げたいと思われていると思います。申し訳ありませんが、今テラスティーネはこちらにはいません。」
「いない?」
「はい。私としては、貴方がカミュスヤーナであるという確証がないと、テラスティーネがいる場に連れていくことができません。テラスティーネに会わなくてはならない理由をお教え願えませんか?」
「・・・話が長くなりますが、よろしいですか?」
私の答えを聞き、アルスカインの表情が
「もちろん。その覚悟はしております。今、お茶を入れさせますから、ゆっくりお話しください。」
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