風のアレフ

ハシバミの花

神代の御業

創世紀

  神がその御眼おんめを開かれると

  光が生まれた


  また神がその御眼を閉じられると

  闇が生まれた


  次に神が、御髪おぐしを一本抜き取られ

  足元に敷かれると

  大地が生まれた


  もう一本、御髪を抜き取り

  また片方の足元に敷かれると

  そこに海が生まれた


  そして大地と海を捏ね

  己が御姿に似せ、

  指先より血潮ちしおを滴らせると

  そこに生命が吹き込まれた。


  生命は瞬く間に世界に広がり

  あっという間に地上と海を埋め尽くした。


  世界が生まれて五日目。

  神は、世界の最も高いところに腰を落ち着け

  やれやれとため息を吐かれた


  これが、最初に生まれた風だった

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