日本庭園環境都市

@koichikobayashi

第1話

いっぽう 伝統的な 日本庭園を おもな テーマとしてきている “庭雑誌”の 澤田忍さんも “今、「庭」業界の状況は、決して芳しいものではありません。燈籠や蹲踞を配する庭や、茶庭をつくるような施主が減ってきており、趣味や嗜好の多様化にともない、さまざまな庭園のスタイルが好まれるようになってきて庭が必ずしも「プロの手」に頼らず、施主たちも積極的に関わるスタイルが望まれるようになってきていること。など、さまざまな理由が挙げられます。しかし、日本庭園を俯瞰的に見ると、社会から求められている要素がとても多いことに気づかされます。環境問題を緩和する要素があること、あるいは人間の心身の健康を保つことに寄与すること、住まいや働く場の環境を整えることなど、今、社会問題として提示されていることの解決への道が、「庭」にこそ、あると思うのです”。と述べておられるよう 新しき日本庭園の 創造と その 原理や 技法の 幅広い活用も 期待されています。



小林と吉村は、それぞれの過去のプロジェクト、あるいは作品を振り返りながら自然を取り入れた取り組みとしての 日本庭園の普遍性と その都市レベルでの適用を模索してきています。 この本はこれらをできるだけ簡潔にまた模式的に考察しようとしたものです。 ここから日本庭園の未来を 現在までの伝統的な縮景のスケールに留まらず、都市環境レベルでの適用活用も示して行きたいと考え、筆をとっています。


なお 本文における 日本庭園とは 小林の 数年に わたる“日本庭園とは?”という 日本内外に おける 研究検討会により 書かれてきたものを 基本にしています。


それは:“日本庭園は命ある空間芸術です。日本庭園は 長い歴史の中で様々な様式を生み出してきましたが その底流にある 普遍的なものは 日本人の美意識です。この美意識の元となっているのが自然観でそれを良く表現しているのが 石の選択 据え方 組み方に あります。日本庭園では おもに石が骨組みとなり 石が物語ります。また 植物も 主要素です。


この庭においては、動的均衡による配置で意匠されており、主に静止空間と継起性空間の組み合わせ、および最も重要な場所においては、抽象化、単純化、象徴化などの伝統的な設計方法によって情景をつくっています。


この 日本庭園は 訪れる人々を 季節感とともに 癒し、心に感動の響きを与える庭です。“
















第一章 日本庭園 と 環境創造都市



一般的に、日本経済の縮小化また少子化にともない都市部の敷地の矮小化が進んでいる傾向があります。高層ビルやマンションの増加により、個人の敷地面積が制限されることが多くなりました。その結果、庭を作る余地が限られている場合もあります。


ただし、都市部でも庭を作る余地がないわけではありません。以下にいくつかのオプションを挙げます。


ベランダやバルコニーの活用: 矮小化した敷地でも、ベランダやバルコニーを活用してコンテナガーデニングや鉢植えを行うことができます。多肉植物やハーブ、小型の野菜などを栽培することができます。屋上庭園: 高層ビルやマンションの屋上に庭園を作る取り組みも増えています。屋上のスペースを有効活用して、緑化や都市農業を行うことができます。


コミュニティガーデン: 公共緑地や市街地の公開空地を利用して、地域の人々が共同で庭園を作る「コミュニティガーデン」が設けられることがあります。個々の敷地の制約を超えて、広いスペースでのガーデニングを楽しむことができます。


公園や緑地: 都市部には公園や緑地が設けられており、そこで自然を楽しむことができます。これらの場所は、都市の中で自然の要素を体験できる場所として確保されています。また 緑地の 積極的導入も かんがえられます。


本文では コミュニティガーデン と 公園や緑地とに 日本庭園の 心と技を 活用するという 視点で 話を 展開します。


日本庭園の作庭時に重要とされている理念、原理、原則は、以下のように述べられています。


1.自然の模倣: 日本庭園は、自然界の美しさと調和を表現するために作られます。自然の風景や季節の変化を模倣し、自然の要素を取り入れることが重要です。

2.ミニマリズム: 日本庭園では、シンプルで洗練されたデザインが重視されます。無駄を排除し、必要最低限の要素で美しさを追求する原則です。

3.周囲との調和: 日本庭園は、周囲の建築物や景観と調和するように設計されます。庭園が存在する場所や周囲の環境に適合し、一体感を持つことが重要です。

4.空間の活用: 日本庭園では、空間の活用が重視されます。適切なスペースの配置やバランス、間隔の配慮が行われ、庭園全体で心地よい空間を演出します。

5.季節感: 日本庭園は四季折々の美しい風景を楽しむことができるように作られます。季節ごとの植物の変化や景色の変化を反映し、季節感を感じさせることが重要です。

6.対称と非対称: 日本庭園では、対称や非対称の要素を組み合わせてバランスをとることがあります。対称的なデザインは整然とした美しさを表現し、非対称な要素は動きやアクセントを加えます。


これらの理念、原理、原則は、日本庭園のデザインや作庭のプロセスにおいて参考にされることがありますが、すべての庭園で必ずしも厳格に適用されるわけではありません。作庭家や庭園の目的に応じて、異なるアプローチやスタイルが採用されることもあります。


ところで 日本庭園の理念や原則は都市の開発や再開発における コミュニティコモンズ ガーデン と 公園や緑地 の 創出と意匠にも適用できます。


日本庭園環境創造都市というテーマは非常に興味深く、魅力的なアイデアです。日本庭園の美しさと環境への配慮を都市に取り入れることで、都市の景観や生活環境を向上させることができるでしょう。


次章に おいては まず 吉村元男による新梅田シチーの 環境創造都市と 日本庭園構想についての 概要と そのプロジェクトと進行プロセスの 意義をのべていきます。























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