初の地上

 目を覚ますと、結構広い川…川幅100mくらいか?の三角州にいた。あたりを見渡すと川から数十mほど離れたところに城壁っぽい石壁がある。高さは5mくらい。左右にずっと続いてるところを見るとかなり広範囲に囲っているようだ。門は視界内にはない。

 川の反対は林、かな?切り株がちらほら見えるところから考えると伐採して植林してるのか?まっすぐででかい木ばっかりだし。林業やってるなぁ。

 視線は森と壁にさえぎられて遠くまでは見えないな。地形はなだらかそうだ。気温は快適。20~25度くらいか。


 さて、問題は俺だ。どんなチートくれたのやら。

 外見はいたって普通、と言うか一切変わってないな。会社のやらかしに気づいたのが夜だったから上下灰色のパジャマ。裸足。持ち物なし…… ん?

 ズボンのポケットに紙が一枚入ってるな。


 チート内容

 ・異世界者基本セット(言語理解、鑑定、収納)

 ・ダンジョン魔法

 ・魔法具作成

 ・モンスター使役

 ・女神の加護

 

 わざわざ紙にしてくれるとは親切だな。

 ……基本セットかなるほど。転生だか転移だか知らんが、結構来てるんだろうなぁこの世界に。

 ダンジョン魔法はまぁそういう物なんだろうな。

 魔法具作成もまあ、色々できるんだろう。

 モンスター使役はダンジョンマスターとして捗る。

 けど最後だよ、なにこれ。


「女神の加護?  ……あぁ、あのようk」

 妖怪、と言う前に目の前にしゃがんだ手長足長が、気が付いたらそこにいた。膝そろえてると空母みたいに見えるな。

「妖怪参上よ」


 ……ばれてた!?


「上の世界、天界はね、心の声が全部聞こえるの」

 

 なんと!?

 

「じゃあ大神に死ねって思ったのも?」

「私には聞こえてたわよ?さすがにお伝えはしてないけど」

 あっぶね、偉いさんの機嫌損ねたら、しかもそれが神様のトップだったら何起こるか分からん。女神様グッジョブ!

「それで、貴方には選択肢をあげたの。本当は4つだけだったんだけど、私の顔の好みに近かったから、特別ね?」

 あ、そうですか。手足が普通の女神様だったら惚れてたかも。

「ありがとう。で、女神の加護ってのは何?」

「そのままよ。私の加護があるの。私は見ての通り美女なんだけど、女の人がすらっとしてるのが嬉しい、って気持ちが変に固まってできたからこんな姿なのよ」

「難儀だな」

「本当よ。男女両方の曖昧な願望が混じりあうと碌な事がないわよね。で、そんな願望から生まれたせいもあって、性愛の女神の一柱でもあるの。

 あなた、ダンジョンマスターになりたいって言った時、物凄く性的な事考えたでしょ?ほんの一瞬だったけど凄まじい波動感じたもの」


 ……ばれてたのか。天界怖いな。


「それ感じた瞬間、貴方がこれからやる事が俄然楽しみになっちゃって、思わず私の加護つけちゃったの♡」


 …………天界怖いな。


「けど、女神の加護ずっと残してると大神様に怒られちゃうから、なるべく早めに何かに変えたいの。これ強力過ぎて緊急時以外使うなって言われてるのよ」

 なるほど。つまりこのままにしてれば、俺は無双of無双ができると。

「私の加護は代償が生命力とか寿命だから、あなたが力使うたびに死に近づくの」

「今すぐ変えてくれ」

 せっかくだから長生きしたいぞ。

「どんなのに変えられるんだ?」

「そうねぇ、どんなのにでも変えられると思うけど、私は性愛系の女神でしょ?系統から外れるとちょっち弱くなるのよね」

 ほほぅ、それは好都合では?

「つまり、そういう系統なら凄いのがつく、と」

「ええ。あなたの場合……  ごめんなさい、そういえばあなたの名前なんだったかしら」


 …………今更か!


「二宮正隆(にのみや まさたか)38歳だ。こっちも女神さまの名前聞いてなかったな。ついでに大神も」

「大神様はみんな大神様で通してるから、私も知らないわ。私はシーナキラーナ。長いしシーナでいいわよ、マサタカ」

「わかった。シーナ」

「それで、話の続きなんだけど、マサタカはえっちぃダンジョン作るんでしょ?それだったらそういう魔法はどう?感度上げたりヌルヌル出したり、色々できるわよ」

「うん、かなり良さそうだ。けど、その辺って、魔法具作成で作れる道具でも似たようなこと出来ないか?」

「あー、そうね。ある程度は出来るわね。手間はかかるけど」

「魔法具作成って、ポーションとかも作れる?」

「そっちは魔法薬作成ね。けど、下級のポーションなら作れるわよ。中級も、魔法薬作成の5倍の資源で一応出来る。上級以上は無理ね」

「ふぅむ……

 じゃあ身体強化はどうだ?俺、今は身体能力的には一般人だよな」

「ええそうね。だから、身体強化は結構いいんじゃない?けど、私があげる身体強化だから足腰と精力がすっごく強くなると思うけど、他はあんまり期待しないでよ」

「それはつまり……絶倫になれると」

「ええ、それは保証する。けど、戦いに関してはあんまり強くなんないから、そっちは期待しないでね」

「ちなみに興味本位での確認だが、絶倫ってどのくらい出来るようになるんだ?」

「そうねぇ……毎日ヤるとして、多分1日20回前後」

「すげぇ!」

「を3セットくらいかしらね」

「…………凄すぎるな。毎日60回できるのか……」

「そのかわり、しっかり食事水分とっとかないと、冗談抜きで死ぬからちゃんと気を付けてね」

「あ、あぁ。了解だ」

「で、どうするの?身体強化でいい?」

「そうだな。ただでさえ凄い能力4つももらってんだ。これだけあれば何とかやっていけるはずだ」

「わかったわ。じゃあ書き換えるわね」

 その言葉と同時に俺はシーナに胸ぐらをつかまれ、シーナの長い腕は大きく振りかぶられ……

「ってちょっと待て!ここ地上だろ!俺死ぬぞ!!」

 手のひらが俺の頬の真横で止まる。

 そしてとんでもない風圧が俺を襲う。風圧で顔が歪む。

「あらいっけない、そうよね、ここ地上だものね。すっかり忘れてたわ。テヘッ」

 可愛く舌を出すシーナ。いやテヘじゃないが。今俺死にかけたんだが。

「地上じゃこっちじゃないと駄目よね」

 と言いながら、俺の両頬を掴み、そのままキスをする。

 突然のことに目を丸くしていると、口の中にシーネの舌が入ってくる。

 うわ、なんだこれ。めっちゃ気持ちいいしエロいし最高だ。

 とか考えてると10秒程度で口を離される。惜しく感じてしまうな……。

「さ、これで女神の加護も消えたし、あなたのお手伝いはここまでね。じゃ、頑張ってねー」

 言うが早いか、シーネの姿が掻き消える。

 もう少し情報ほしかったんだが。

 まあ、仕方ない。

 何はともあれ現状を把握しないとな。

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